について
サウジアラビア完全ガイド:砂漠の王国への旅
サウジアラビアと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?広大な砂漠、石油、そして厳格なイスラム国家というイメージでしょうか。2019年まで観光ビザすら存在しなかったこの国は、今や世界で最もダイナミックに変化する旅行先の一つになっています。
私が初めてサウジアラビアを訪れたのは観光ビザ解禁直後の2019年末でした。正直に言うと、不安と好奇心が入り混じった気持ちでした。しかし到着してみると、想像を遥かに超える体験が待っていました。2000年の歴史を持つナバテア文明の遺跡、息を呑むほど美しい紅海のサンゴ礁、世界最大の砂漠での満天の星、そして何よりも温かいアラビアのホスピタリティ。この国は私の旅行観を根本から変えてしまいました。
このガイドでは、日本人旅行者の視点からサウジアラビアの魅力をあますところなくお伝えします。ビザの取得方法から、おすすめのルート、注意すべきマナーまで、実際に何度も訪れた経験をもとに詳しく解説していきます。
なぜ今サウジアラビアなのか
2016年に発表された「ビジョン2030」により、サウジアラビアは石油依存経済からの脱却を目指し、観光産業を国の主要産業の一つに位置づけました。この政策転換により、数十年間閉ざされていた門戸が外国人旅行者に開かれたのです。
観光ビザの解禁は2019年9月のことでした。それまでは巡礼者や商用目的の訪問者しか入国できませんでしたが、今では49カ国(日本を含む)の国民がオンラインで簡単に観光ビザを取得できます。費用は535リヤル(約21,000円)で、1年間有効の複数回入国可能なビザが発給されます。
女性の権利拡大も大きな変化です。2018年に女性の運転が解禁され、2019年からは女性単独での旅行やホテル宿泊も可能になりました。アバヤ(黒いローブ)の着用義務もなくなり、控えめな服装であれば自由な格好で観光できます。
エンターテイメント産業も急速に発展しています。35年ぶりに映画館が復活し、コンサートやスポーツイベントが次々と開催されています。K-popアーティストもリヤドでコンサートを行っており、日本のアーティストの公演も増えています。
世界遺産と新プロジェクトの両方を楽しめるのもサウジの魅力です。アル・ウラーのヘグラ遺跡はユネスコ世界遺産に登録されており、ヨルダンのペトラと並ぶナバテア文明の傑作です。一方、ネオムでは500億ドル規模の未来都市プロジェクトが進行中で、2030年には世界中から観光客を集めることでしょう。
地域ガイド:7つの魅力的な目的地
リヤド - 近代化する首都
リヤドはサウジアラビアの首都であり、800万人以上が暮らす中東最大級の都市です。高層ビルが立ち並ぶ近代的な街並みと、伝統的なアラビア文化が共存する魅力的な場所です。
キングダムセンタータワーは街のランドマークで、高さ302メートルの展望台「スカイブリッジ」からは360度のパノラマビューを楽しめます。夜景は特に美しく、砂漠の中に浮かぶ光の海を見渡すことができます。
サウジアラビア国立博物館はこの国の歴史と文化を理解するのに最適な場所です。アラビア半島の地質学的歴史からイスラム以前の時代、イスラムの黄金時代、そして現代サウジアラビアの発展まで、8つのホールで体系的に展示されています。日本語のオーディオガイドも利用可能です。
マスマク城塞は1902年にアブドゥルアズィーズ国王がリヤドを奪還した歴史的な場所です。泥レンガ造りの城塞は見事に復元されており、サウジ建国の歴史を伝える博物館になっています。入口の門には、当時の戦いで突き刺さった槍の先端が今も残っています。
リヤドの郊外にあるディルイーヤは世界遺産に登録されており、サウド王家発祥の地として歴史的重要性を持ちます。泥レンガ造りのナジュディ建築が美しく復元されており、高級レストランやブティックホテルも開業しています。日帰りで訪れるのに最適です。
ジェッダ - 紅海の玄関口
ジェッダはサウジアラビア第二の都市であり、紅海に面した国際的な港湾都市です。メッカへの巡礼者の玄関口として古くから栄え、多様な文化が混ざり合う独特の雰囲気を持っています。リヤドに比べてリベラルな気風があり、観光客にとっても過ごしやすい街です。
アル・バラド(旧市街)は2014年にユネスコ世界遺産に登録された歴史地区です。紅海貿易で栄えた商人たちが建てた珊瑚石と木材のタワーハウスが立ち並び、精緻な木彫りの窓枠(ロシャン)が特徴的です。狭い路地を歩けば、500年前にタイムスリップしたような感覚を味わえます。
キング・ファハド噴水は世界最高の噴水で、高さ312メートルまで水を噴き上げます。夕暮れ時のコルニーシュ(海岸遊歩道)から眺める噴水のシルエットは、ジェッダを象徴する光景です。
紅海のダイビングはジェッダの隠れた魅力です。サンゴ礁には1,200種以上の魚類と250種以上のサンゴが生息しており、透明度の高い海中で色鮮やかな海洋生物を観察できます。シャルムオブダハン、アブサード礁などのダイビングスポットは、世界中のダイバーを魅了しています。水温は年間を通して24~30度で、一年中ダイビングが楽しめます。
アル・ウラー - 砂漠の古代遺跡
アル・ウラーは近年最も注目を集めている観光地です。リヤドから北西に1,100kmの砂漠地帯に位置し、2000年以上の歴史を持つ古代文明の遺跡が点在しています。
ヘグラ(マダイン・サーレハ)はサウジアラビア初のユネスコ世界遺産(2008年登録)で、ナバテア王国の南の首都でした。砂岩の岩山を掘り削って造られた111基の墓所は、ヨルダンのペトラと同じ技法で作られていますが、ペトラよりも保存状態が良く、観光客も少ないためじっくり見学できます。
エレファントロックは自然が造り出した巨大な岩で、その名の通り象の形をしています。夕日に照らされた赤褐色の岩は息を呑むほど美しく、インスタグラムで人気のスポットです。岩の麓にはカフェがあり、アラビアコーヒーを飲みながら夕日を眺めることができます。
ダダン王国遺跡はヘグラよりもさらに古い紀元前9世紀の遺跡です。岩壁に彫られた墓所と、ライオンの彫刻が特徴的です。アル・ウラーの歴史博物館では、発掘された遺物を通じてこの地域の悠久の歴史を学ぶことができます。
アル・ウラーではマラヤという世界最大のミラービルディングも見どころです。約9,740枚の鏡で覆われたコンサートホールは、砂漠の景色を映し出す幻想的な建物です。国際的なアーティストのコンサートやフェスティバルが開催されています。
メッカとメディナ - 聖地
メッカとメディナはイスラム教の二大聖地であり、世界中のムスリムにとって最も神聖な場所です。残念ながら、非ムスリムはこれらの都市の中心部に入ることはできません。しかし、その存在を知っておくことはサウジアラビアを理解する上で重要です。
メッカにはカアバ神殿を擁するマスジド・アル・ハラームがあり、毎年200万人以上のムスリムがハッジ(大巡礼)に訪れます。メディナには預言者モスク(マスジド・アン・ナバウィー)があり、預言者ムハンマドの墓所があります。
ハッジのシーズン(イスラム暦の12月)には、サウジアラビア全土の交通や宿泊施設が混雑します。この時期の旅行は避けるか、早めの予約が必要です。
アブハ - 山岳リゾート
アブハはサウジアラビア南西部のアシール山脈に位置する高原都市です。標高2,200メートル以上にあり、夏でも気温が25度前後と涼しく、サウジアラビア人の避暑地として人気があります。
ジャバル・ソーダは標高3,015メートルのサウジアラビア最高峰です。ロープウェイで山頂近くまで登ることができ、雲海を見下ろす絶景が広がります。周辺にはジュニパーの森が広がり、砂漠の国というイメージとは全く異なる風景です。
アブハの伝統的な村々では、カラフルなペインティングが施された石造りの家々を見ることができます。リジャール・アルマ村は特に有名で、段々畑と石造りの塔が織りなす景観は圧巻です。
ネオム - 未来都市プロジェクト
ネオムは紅海沿岸の北西部で建設中の5,000億ドル規模のメガプロジェクトです。2030年までに段階的に開業予定で、世界初の真にスマートな都市を目指しています。
最も注目されているのはザ・ラインです。全長170km、幅200m、高さ500mの直線都市構想で、900万人が居住予定です。車のない都市で、すべての移動は高速鉄道と徒歩で完結します。100%再生可能エネルギーで運営され、AIが都市機能を管理します。
トロジェナは中東初の屋外スキーリゾートで、2029年のアジア冬季競技大会の開催地に選ばれています。標高1,500〜2,600mの山岳地帯に建設中で、人工雪を使わない天然雪でのスキーが可能になる予定です。
オクサゴンは世界最大の浮体式構造物として計画されている港湾・産業都市です。八角形の形状で、紅海に浮かぶ未来的な都市景観を創出します。
現時点ではネオムの多くは建設中ですが、一部のリゾートエリアはすでに開業しています。紅海沿岸のビーチリゾートでは、pristineな自然環境でのダイビングやシュノーケリングが楽しめます。
サウジアラビアならではの体験
砂漠サファリとベドウィン文化
ルブアルハリ砂漠(空虚の地)は世界最大の砂丘地帯で、面積は日本の国土の約1.5倍に相当します。オレンジ色の砂丘は高さ200メートルを超えるものもあり、その壮大なスケールは言葉を失うほどです。
砂漠サファリでは4WD車で砂丘を駆け抜けるデューンバッシングが人気です。急斜面を登り下りするスリルは、ジェットコースターさながら。サンドボーディングやキャメルライドも体験できます。
一泊の砂漠キャンプは特におすすめです。ベドウィン式のテントで伝統的なアラビア料理を味わい、焚き火を囲んでアラビアコーヒーとデーツを楽しみながら、満天の星を眺める。光害のない砂漠で見る天の川は、一生忘れられない光景になるでしょう。
ダイビングと海洋スポーツ
紅海はダイビングの世界三大スポットの一つに数えられます。サウジアラビアの紅海沿岸はまだ観光開発が進んでいないため、手つかずのサンゴ礁と豊かな海洋生物が残っています。
ジェッダ近郊のダイビングスポットでは、ウミガメ、マンタ、サメ、イルカなどに遭遇することができます。シャルムオブダハンは初心者にも適した穏やかな海域で、カラフルな熱帯魚が群れを成して泳いでいます。
ファラサン諸島はジェッダから南に400kmの紅海に浮かぶ群島で、ダイビングの隠れた名所です。200種以上のサンゴと900種以上の魚が生息し、12月から3月にはマンタやジンベエザメが出現することも。アクセスに時間がかかりますが、その価値は十分にあります。
歴史と考古学
サウジアラビアには6つのユネスコ世界遺産があり、その多くがまだ世界にあまり知られていません。
ヘグラについては前述しましたが、ジェッダ旧市街も2014年に世界遺産に登録されています。珊瑚石とチーク材で建てられたタワーハウスは、紅海貿易の繁栄を今に伝えています。
ディルイーヤのトライフ地区は第一次サウジ王国の首都だった場所で、泥レンガ造りのナジュディ建築が美しく保存されています。2010年に世界遺産に登録され、現在は大規模な復元プロジェクトが進行中です。
ハーイル地域の岩絵は1万年前に描かれた先史時代の芸術で、アラビア半島がかつてサバンナだったことを示す貴重な証拠です。ラクダや狩りの様子が岩肌に刻まれています。
伝統文化とフェスティバル
ジャナドリヤ祭(現在はリヤドシーズンに統合)はサウジアラビア最大の文化祭典で、伝統舞踊、民族衣装、工芸品、郷土料理などが一堂に会します。各地域のパビリオンでは、サウジの多様な文化を体験できます。
アルダダンスは剣を持って踊る伝統的な男性の舞踊で、国王も参加することがある国民的な文化です。結婚式や国家的な祝典で披露され、迫力ある太鼓のリズムと掛け声が特徴です。
ファルコンリー(鷹狩り)は湾岸地域の貴族の伝統で、サウジでも盛んです。リヤドのファルコンスーク(鷹市場)では、数万ドルで取引されるハヤブサを見ることができます。鷹狩りのデモンストレーションを見学できるツアーもあります。
旅の計画:いつ行くべきか
ベストシーズン
11月〜3月がサウジアラビア旅行のベストシーズンです。この時期は気温が20〜30度前後で、砂漠地帯でも快適に観光できます。特に12月〜2月は最も過ごしやすく、日中は半袖で過ごせますが、朝晩は15度以下に冷え込むこともあるので、羽織るものを持参してください。
4月と10月は端境期で、日によって暑かったり涼しかったりします。この時期は観光客が比較的少なく、ホテル料金も安い傾向があります。ただし、4月後半から気温が急上昇することがあるので注意が必要です。
5月〜9月は避けることをおすすめします。リヤドでは気温が45度を超えることもあり、屋外活動は危険です。この時期に訪れる場合は、日中はエアコンの効いた屋内施設で過ごし、夕方以降に観光するスタイルになります。ただし、アブハなど山岳地帯は夏でも涼しく、この時期のサウジ人の避暑地になっています。
避けるべき時期
ラマダン期間(毎年11日ずつ早まる)は日中の飲食が制限されます。レストランは日没まで閉まっており、観光客も公共の場での飲食は控える必要があります。一方で、イフタール(日没後の食事)を体験できる貴重な機会でもあります。事前に日程を確認し、覚悟の上で訪れるなら興味深い体験になるでしょう。
ハッジ期間(イスラム暦の12月8〜13日頃)は避けることをおすすめします。世界中から200万人以上の巡礼者がサウジアラビアに集まるため、航空券やホテルの価格が高騰し、交通も混雑します。特にメッカ・メディナ周辺は非常に混み合います。
リヤドシーズン(10月〜3月)は逆にイベントが盛りだくさんの時期です。コンサート、スポーツイベント、エンターテイメントが毎週のように開催され、街全体が活気づきます。この時期を狙って訪れるのもおすすめです。
アクセス方法
日本からのフライト
2024年現在、日本からサウジアラビアへの直行便はありません。中東や東南アジアの主要都市を経由することになります。
ドバイ経由(エミレーツ航空)が最も便利な選択肢です。成田・羽田からドバイまで約12時間、ドバイからリヤドまで約2時間で、合計約16〜18時間の旅程になります。エミレーツ航空のサービス品質は高く、ドバイ空港の乗り継ぎ設備も充実しています。
ドーハ経由(カタール航空)も人気のルートです。羽田・成田からドーハまで約12時間、ドーハからリヤドやジェッダまで約2時間です。カタール航空はスカイトラックス社の「ワールドベストエアライン」に何度も選ばれており、機内サービスに定評があります。
アブダビ経由(エティハド航空)、イスタンブール経由(ターキッシュエアラインズ)、シンガポール経由(シンガポール航空)なども選択肢です。乗り継ぎ時間や航空券の価格を比較して選びましょう。
航空券の価格は時期によって大きく変動しますが、エコノミークラスで往復10〜20万円程度が目安です。リヤドシーズンやゴールデンウィーク、年末年始は価格が上昇します。
入国手続き
観光ビザ(eビザ)は公式サイト(visitsaudi.com)からオンラインで申請できます。パスポートのスキャンと顔写真をアップロードし、535リヤル(約21,000円)を支払えば、通常24〜48時間以内に承認されます。1年間有効で複数回入国可能、1回の滞在は90日まで可能です。
パスポートの有効期限は入国時に6ヶ月以上必要です。また、パスポートにイスラエルの入国スタンプがある場合でも、現在は入国拒否されることはほとんどありませんが、念のため確認することをおすすめします。
入国時に指紋と顔写真が撮影されます。審査は通常スムーズで、特に質問されることはほとんどありません。税関では、アルコール、豚肉製品、イスラム教に反する書籍や映像の持ち込みは禁止されていますのでご注意ください。
空港からの移動
リヤド・キング・ハーリド国際空港は市内中心部から約35km離れています。タクシーで約30分、100〜150リヤル(約4,000〜6,000円)程度です。Uberやカリーム(Careem)アプリを使えば事前に料金が確定するので安心です。2025年には空港とメトロが接続される予定です。
ジェッダ・キング・アブドゥルアズィーズ国際空港は市内から約20km。タクシーで約25分、80〜120リヤル程度です。こちらもUberやカリームが利用できます。
国内の移動手段
国内線
サウジアラビアは国土が日本の5.7倍もあるため、都市間移動には飛行機が最も効率的です。サウディア航空(フラッグキャリア)、フライナス、フライアディールの3社が国内線を運航しています。
リヤド〜ジェッダ間は1日30便以上あり、所要時間は約1時間45分です。片道200〜500リヤル(約8,000〜20,000円)が目安で、早期予約やLCCを利用すればさらに安く済みます。リヤド〜アル・ウラー間は約1時間30分、リヤド〜アブハ間は約1時間30分です。
国内線のセキュリティチェックは厳格ですが、出発の1時間前に空港に着けば十分です。機内持ち込み手荷物のルールは国際線と同様です。
鉄道
ハラマイン高速鉄道はメッカ、ジェッダ、メディナを結ぶ高速鉄道で、最高時速300kmで運行しています。ジェッダ〜メディナ間は約2時間、メッカ〜メディナ間は約2時間30分です。非ムスリムはメッカ駅とメディナ中心部駅では下車できませんが、ジェッダとメディナ間の移動には便利です。
サウジ鉄道(SAR)はリヤドとダンマン(東海岸)を結ぶ路線を運行しています。約4時間の旅程で、ビジネスクラスは快適なシートとWiFiを提供しています。
今後、リヤドとジェッダを結ぶ高速鉄道「ランドブリッジ」プロジェクトも計画されており、完成すれば2時間で両都市を結ぶことになります。
レンタカー
自由度の高い旅行を望むなら、レンタカーが最適です。日本の国際運転免許証で運転可能で、ハーツ、エイビス、バジェットなど国際的なレンタカー会社が主要空港に営業所を構えています。
ガソリン価格は1リットル約2.5リヤル(約100円)と非常に安く、燃料費を気にせず走れます。高速道路はよく整備されており、都市間を結ぶ道路は片側3〜4車線の広い舗装路です。
ただし、注意点もあります。サウジの運転は荒いことで有名で、スピード超過や車線変更が頻繁です。特に砂漠の直線道路では、居眠り運転に注意してください。また、ラクダや野生のラバが道路に出てくることがあるため、夜間の運転は避けることをおすすめします。
都市部ではGoogle Mapsが問題なく機能します。アラビア語の標識も多いですが、主要道路には英語表記もあります。
タクシーとライドシェア
Uberとカリーム(Careem)は全国の主要都市で利用可能です。アプリで目的地を設定し、事前に料金を確認できるため、言葉の問題やぼったくりの心配がありません。支払いはクレジットカードまたは現金で可能です。
従来のタクシーもありますが、メーターを使わないことが多く、乗車前に料金交渉が必要です。空港や主要ホテル前にはタクシー乗り場があります。
女性の一人旅でもUberやカリームは安全に利用できます。ドライバーの評価システムがあり、乗車履歴も記録されるため、トラブルが起きにくい仕組みになっています。
文化とマナー
服装規定
サウジアラビアの服装規定は近年大幅に緩和されましたが、保守的な価値観は残っています。観光客も現地の文化を尊重した服装が求められます。
女性は膝と肩を覆う服装が基本です。2019年以降、アバヤ(黒いローブ)の着用は義務ではなくなりましたが、モスクや宗教施設を訪れる際は必須です。ジェッダやリヤドの近代的なエリアでは、ジーンズと長袖のブラウスで問題ありません。ただし、体のラインが出るタイトな服や露出の多い服は避けてください。
男性は半ズボンやタンクトップを避けるのが無難です。長ズボンとTシャツや襟付きシャツが適切です。高級レストランやホテルでは、襟付きシャツとスラックスがあるとスマートです。
現地でアバヤが必要になった場合、ショッピングモールで100〜200リヤル(約4,000〜8,000円)で購入できます。レンタルサービスを提供している観光施設もあります。
礼拝時間
イスラム教では1日5回の礼拝(サラート)があり、礼拝時間になると多くの店舗や施設が15〜30分間閉まります。礼拝時間は日の出と日没に連動するため、季節によって変動します。
- ファジュル(夜明け前)
- ズフル(正午過ぎ)
- アスル(午後)
- マグリブ(日没直後)
- イシャー(夜)
特に正午のズフルと金曜日の集団礼拝の時間は、ほとんどの店が閉まります。この時間帯はカフェで休憩したり、ホテルで過ごすなど、柔軟な計画を立てておくと良いでしょう。礼拝時間はMuslim Pro等のアプリで確認できます。
アルコールと禁止事項
サウジアラビアではアルコールの製造、販売、消費、輸入は全面的に禁止されています。空港でも免税店でのアルコール販売はありません。違反すると厳しい処罰を受ける可能性があるため、絶対に持ち込まないでください。
豚肉も同様に禁止されています。日本から持参するカップラーメンや調味料に豚由来成分が含まれていないか確認してください。
公共の場での愛情表現(キスや抱擁)は控えてください。結婚していないカップルでも、控えめな態度が求められます。
写真撮影では、許可なく人物(特に女性)を撮影することは避けてください。軍事施設や政府機関、空港内部の撮影も禁止されています。観光地でも、撮影可能か確認してからカメラを向けるのがマナーです。
安全とセキュリティ
治安状況
サウジアラビアの一般的な治安は非常に良好です。観光客を狙った犯罪は稀で、夜間でも街を歩くことができます。厳格な法律と監視システムにより、窃盗や暴力犯罪の発生率は先進国と比較しても低いレベルです。
ただし、イエメン国境付近は避けることを強くおすすめします。この地域では散発的な武力衝突があり、外務省も渡航中止勧告を出しています。通常の観光では近づく必要はありません。
テロのリスクについては、サウジ政府が厳格な対策を講じています。主要な観光施設やホテルではセキュリティチェックが実施されており、安心して観光できます。
緊急連絡先
- 警察:999
- 救急車:997
- 消防:998
- 交通事故:993
- 在サウジアラビア日本国大使館(リヤド):+966-11-488-1100
- 在ジェッダ日本国総領事館:+966-12-667-0676
万が一のトラブルに備えて、これらの連絡先をスマートフォンに保存しておくことをおすすめします。また、外務省の「たびレジ」に登録しておくと、現地の安全情報がメールで届きます。
女性旅行者の安全
2019年以降、女性の一人旅や女性グループでの旅行が可能になりました。実際に多くの女性旅行者がサウジアラビアを訪れており、特別な危険を感じることはほとんどありません。
ただし、いくつかの注意点があります。見知らぬ男性から声をかけられた場合は、丁重にでもはっきり断ることが大切です。夜間の一人歩きは避け、UberやCareem等を利用してください。また、控えめな服装を心がけることで、不要な注目を避けることができます。
健康と医療
医療事情
サウジアラビアの主要都市には高水準の医療施設があります。リヤドやジェッダには国際水準の私立病院があり、英語を話す医師も多くいます。緊急時には適切な医療を受けることができます。
ただし、医療費は高額になることがあるため、海外旅行保険への加入は必須です。骨折などの軽傷でも治療費が数十万円になることがあります。クレジットカード付帯の保険でカバーされるか、別途保険に加入するか、出発前に確認してください。
予防接種
日本からの観光目的の入国では、特定の予防接種は義務付けられていません。ただし、以下の予防接種を検討することをおすすめします:
- A型肝炎:飲食物からの感染予防
- 破傷風:怪我をした場合に備えて
- 髄膜炎菌:ハッジ・ウムラ参加者には義務
最新の情報は厚生労働省検疫所(FORTH)のウェブサイトで確認してください。
日差しと熱中症対策
サウジアラビアの日差しは非常に強烈です。日焼け止め(SPF50以上)、サングラス、帽子は必需品です。冬でも日中は日差しが強いので油断しないでください。
夏季に訪れる場合は、熱中症対策が最重要課題です。十分な水分補給(1日3リットル以上)を心がけ、暑い時間帯(11時〜16時)の屋外活動は避けてください。体調が悪くなったらすぐに涼しい場所に移動し、休息を取りましょう。
水と食事
水道水は飲用に適しません。ミネラルウォーターを購入して飲んでください。ホテルやレストランでは浄水された水やボトルウォーターが提供されます。
食事については、主要なレストランやホテルでは衛生管理がしっかりしており、問題はありません。ただし、屋台や路上の露店で食べる場合は、加熱されたものを選ぶなど注意が必要です。生野菜のサラダは念のため避けたほうが無難です。
お金と支払い
通貨と為替
サウジアラビアの通貨はサウジアラビア・リヤル(SAR)です。1リヤル=100ハララですが、ハララはほとんど使われません。2024年現在、1リヤル≒約40円です。
リヤルは米ドルにペッグ(固定相場制)されており、1ドル=3.75リヤルで安定しています。そのため、為替変動のリスクは米ドルと同程度です。
両替
両替は空港、銀行、ショッピングモール内の両替所で可能です。日本円からの直接両替もできますが、レートが悪いことがあります。米ドルを持参して両替するほうが有利な場合が多いです。
空港の両替所はレートが悪めですが、少額の両替には便利です。大きな金額を両替する場合は、市内の両替所を比較してから行うことをおすすめします。
クレジットカードと電子決済
クレジットカードは広く使えます。Visa、Mastercard、American Expressが主要なホテル、レストラン、ショッピングモールで利用可能です。JCBは使える場所が限られるので、VISAかMastercardを持参することをおすすめします。
Apple PayとGoogle Payも普及しており、対応端末では非接触決済が可能です。
ただし、伝統的なスーク(市場)や小さな商店では現金のみの場合があります。100〜200リヤル程度の現金は常に持ち歩くと安心です。
チップ
サウジアラビアではチップは義務ではありませんが、良いサービスを受けた場合は感謝の気持ちとして渡すことが一般的です。
- レストラン:請求額の10〜15%(サービス料が含まれていない場合)
- ホテルのポーター:10〜20リヤル
- タクシー:端数を切り上げる程度
- ツアーガイド:50〜100リヤル
モデルルート
7日間コース:ハイライト周遊
初めてのサウジアラビア旅行におすすめの定番ルートです。
1日目:リヤド到着
キング・ハーリド国際空港に到着後、ホテルにチェックイン。時差ボケの調整も兼ねて、ゆっくり過ごします。夕食はナジュド・ビレッジで伝統的なサウジ料理を体験。
2日目:リヤド観光
午前中は国立博物館でサウジの歴史を学び、マスマク城塞を見学。午後はディルイーヤの世界遺産を訪問。夕方はキングダムセンターの展望台から夜景を堪能。
3日目:リヤド→アル・ウラー
朝のフライトでアル・ウラーへ(約1時間30分)。到着後、エレファントロックで夕日を鑑賞。夜は砂漠のリゾートに宿泊。
4日目:アル・ウラー探索
終日、世界遺産ヘグラ遺跡を探索。ナバテア人の精緻な墓所建築に感動すること間違いなし。夕方はダダン遺跡とライオンの墓を見学。
5日目:アル・ウラー→ジェッダ
朝のフライトでジェッダへ(約1時間30分)。午後はアル・バラド(旧市街)を散策。歴史的なタワーハウスと伝統的なスークを巡ります。
6日目:ジェッダ・紅海
午前中は紅海でダイビングまたはシュノーケリング。午後はコルニーシュ沿いを散歩し、キング・ファハド噴水を眺めます。夕食は海沿いのシーフードレストランで。
7日目:ジェッダ出発
最後のショッピングを楽しんだ後、空港へ。帰国の途につきます。
10日間コース:深掘り体験
時間に余裕がある方向けの、より深くサウジを体験できるルートです。
1〜2日目:リヤド(7日間コースと同様)
3日目:エッジ・オブ・ザ・ワールド
リヤドから日帰りで「世界の果て」と呼ばれる断崖絶壁を訪問。300メートルの崖から見渡す地平線は圧巻です。4WDツアーがおすすめ。
4〜5日目:アル・ウラー(7日間コースと同様に加え、マラヤコンサートホールや旧市街も探索)
6日目:アブハへ移動
ジェッダ経由でアブハへ飛行。涼しい山岳地帯の空気を満喫。
7日目:アブハと周辺
ジャバル・ソーダ(サウジ最高峰)にロープウェイで登り、雲海を眺める。午後はリジャール・アルマ村の伝統的な石造りの家々を見学。
8〜9日目:ジェッダ(7日間コースと同様に加え、紅海ダイビングを2日間たっぷり楽しむ)
10日目:出発
14日間コース:完全制覇
サウジアラビアを徹底的に探索したい方向けの本格ルートです。
1〜3日目:リヤド(国立博物館、マスマク城塞、ディルイーヤ、エッジ・オブ・ザ・ワールド)
4〜6日目:アル・ウラー(ヘグラ、ダダン、エレファントロック、マラヤ、旧市街、星空観察)
7〜8日目:タブーク地方
紅海沿岸のネオム近郊でビーチリゾートを満喫。建設中の未来都市の一端を垣間見る。
9〜10日目:アブハ(ジャバル・ソーダ、伝統村落、アシール国立公園)
11〜13日目:ジェッダ(旧市街、紅海ダイビング、ファラサン諸島日帰りツアー)
14日目:出発
21日間コース:究極の旅
3週間かけてサウジアラビアの隅々まで探索するルートです。上記14日間コースに加えて:
- ダンマン・東部地域(3日間):湾岸地域の石油産業の中心地、歴史的なタルート島
- ハーイル地方(2日間):世界遺産の岩絵、ナフード砂漠
- 追加のリヤド滞在(2日間):リヤドシーズンのイベントやショッピング
インターネットと通信
SIMカードとモバイルデータ
サウジアラビアでインターネットに接続する最も簡単な方法は、現地SIMカードを購入することです。空港や街中のショップで購入でき、パスポートの提示が必要です。
主要な携帯キャリアはSTC、Mobily、Zainの3社です。観光客向けのプリペイドSIMは、30日間・10GBで100〜150リヤル(約4,000〜6,000円)程度です。5Gネットワークも普及しており、主要都市では高速通信が可能です。
eSIM対応のスマートフォンをお持ちの場合は、AiraloやHolaflyなどのeSIMサービスを出発前に購入しておくと便利です。到着後すぐにデータ通信が使えます。
WiFi事情
主要なホテルでは無料WiFiが提供されています。カフェやレストラン、ショッピングモールでもWiFiが使えることが多いです。ただし、速度や安定性は場所によってまちまちなので、重要な作業にはモバイルデータを使うことをおすすめします。
VPNとアクセス制限
サウジアラビアでは一部のウェブサイトやサービスがブロックされています。ただし、一般的なSNS(Instagram、Twitter、YouTube等)は問題なく使用できます。VoIPサービス(Skype、WhatsApp通話等)も現在は制限なく利用可能です。
念のため、出発前にVPNアプリをダウンロードしておくと安心です。NordVPNやExpressVPNなどの大手サービスは問題なく動作します。
サウジアラビアの食文化
伝統的な料理
カブサ(Kabsa)はサウジアラビアの国民食です。香り高いスパイスで調理した羊肉や鶏肉を、バスマティライスの上にのせた料理で、各家庭に独自のレシピがあります。
マンディ(Mandi)は、イエメン発祥の伝統料理です。肉を地下の窯で長時間スモークし、驚くほど柔らかく仕上げます。煙の香りが食欲をそそります。
ジャリーシュ(Jareesh)は、挽き割り小麦をヨーグルトや肉のスープで煮込んだ、お粥のような料理です。消化が良く、ラマダン期間中によく食べられます。
サリーク(Saleeg)は、米をミルクとチキンブロスで炊いたクリーミーな料理です。メッカやジェッダ地方の名物で、上にローストチキンをのせて食べます。
ムタッバク(Mutabbaq)は、薄い生地に挽き肉、卵、野菜を包んで揚げたスナックです。屋台や軽食として人気があります。
デーツとアラビアコーヒー
デーツ(ナツメヤシの実)はサウジアラビアの食文化に欠かせない存在です。100種類以上の品種があり、それぞれ味と食感が異なります。メディナ産のアジュワは宗教的な意味も持つ最高級品です。甘くてキャラメルのようなスッカリはお土産に最適です。
アラビアコーヒー(カフワ)は、日本人がイメージするコーヒーとは全く異なります。焙煎が浅く、カルダモン、サフラン、クローブなどのスパイスを加えた黄金色の飲み物です。苦味は少なく、香り高い味わいです。小さなカップ(フィンジャン)で少量ずつ飲み、デーツと一緒に楽しみます。
サウジのホスピタリティでは、まずアラビアコーヒーとデーツで客人をもてなします。勧められたら断らずに受け取るのがマナーです。「もう十分」と伝えるには、カップを左右に揺らします。
レストランガイド
高級レストラン:リヤドのTakya(モダン・サウジ料理)、ジェッダのNozomi(日本料理)、アル・ウラーのMaraya Social(国際料理)など、世界レベルのファインダイニングが増えています。
カジュアルダイニング:Al Baikはサウジ発のファストフードチェーンで、フライドチキンが絶品です。行列ができるほどの人気店で、地元の人も観光客も訪れます。Herfyはサウジのハンバーガーチェーンで、アラビア風のスパイスが効いています。
伝統的なレストラン:リヤドのNajd VillageやジェッダのAl Nakheelでは、伝統的な雰囲気の中でカブサやマンディを楽しめます。床に座って食べるスタイルも体験できます。
食事の注意点として、豚肉とアルコールは一切提供されません。また、多くのレストランにはファミリーセクション(女性と家族連れ用)とシングルセクション(男性のみ)があります。観光客はファミリーセクションを利用するのが一般的です。
ショッピングガイド
伝統市場(スーク)
サウジアラビアのスークは、中東の伝統的な市場文化を体験できる場所です。迷路のような路地に小さな店が軒を連ね、スパイス、香水、金、織物などが所狭しと並んでいます。
ジェッダのスーク・アル・アラウィは、旧市街の中心にある歴史的な市場です。150年以上の歴史があり、伝統的な衣装、香水、工芸品が手に入ります。
リヤドのスーク・アル・ズィールは、デーツとナッツの専門市場として有名です。50種類以上のデーツが並び、試食しながら選ぶことができます。
スークでの値切りは文化の一部です。最初に提示される価格から40〜60%程度まで交渉するのが一般的です。笑顔で、しかし粘り強く交渉を楽しみましょう。
おすすめのお土産
ウード(沈香)香水はサウジアラビアを代表するお土産です。沈香の木から抽出した高級香油は、1mlで数千円から数万円するものまであります。Abdul Samad Al Qurashiは王室御用達の高級ブランドです。
デーツは最も実用的なお土産です。Bateelブランドは高級デーツで知られ、チョコレートコーティングやナッツ入りなど様々なバリエーションがあります。空港にも店舗があり、最後まで買い物ができます。
アラビアコーヒーセットも人気のお土産です。伝統的なダッラ(コーヒーポット)とフィンジャン(小さなカップ)のセットは、インテリアとしても美しいです。
金製品は税金がかからないため、お得に購入できます。リヤドやジェッダのゴールドスークでは、18K、21K、22Kの金を当日の国際相場に基づいて販売しています。工賃のみ交渉可能です。
伝統衣装(男性用のトーブ、女性用のアバヤ)もユニークなお土産になります。オーダーメイドも可能で、刺繍入りの高級品は芸術作品のような美しさです。
モダンなショッピングモール
リヤドやジェッダには巨大なショッピングモールが多数あります。世界的なブランドから地元ブランドまで、あらゆるものが揃っています。
- リヤドパークモール(リヤド):400以上の店舗を擁する中東最大級のモール
- キングダムセンター(リヤド):高級ブランドが集まるアイコニックなモール
- モール・オブ・アラビア(ジェッダ):家族連れに人気のエンターテイメント施設併設
- レッドシーモール(ジェッダ):紅海沿いのリゾート型ショッピングセンター
モール内では礼拝時間も営業していることが多いですが、一部の店舗は閉まることがあります。また、エアコンが効いているので、暑い時間帯の避難場所としても最適です。
おすすめアプリ
移動に便利なアプリ
- Uber:配車サービスの定番。サウジ全土で利用可能
- Careem:中東発の配車サービス。Uberと同様に使える
- Google Maps:ナビゲーションに必須。サウジでも正確に機能する
- Waze:交通渋滞情報に強いナビアプリ
旅行計画・予約アプリ
- Almosafer:サウジ発の旅行予約サイト。ホテルや航空券が予約できる
- Visit Saudi:公式観光アプリ。観光スポット情報やイベント情報を入手
- Saudia Airlines:サウディア航空の公式アプリ。予約確認やチェックインに便利
日常生活に便利なアプリ
- HungerStation / Jahez:フードデリバリーアプリ。ホテルへの配達に便利
- Muslim Pro:礼拝時間の確認に。お店が閉まる時間の目安になる
- XE Currency:リアルタイムの為替レート確認
- Google翻訳:アラビア語の看板やメニューの翻訳に
支払い関連アプリ
- STC Pay:サウジの電子決済サービス。登録すれば便利に使える
- Apple Pay / Google Pay:対応店舗でのタッチ決済に
旅の準備と持ち物
必需品チェックリスト
- パスポート(有効期限6ヶ月以上)
- 観光ビザ(事前にオンライン申請)
- 航空券(Eチケット印刷推奨)
- 海外旅行保険(医療費カバー必須)
- クレジットカード(VISA/Mastercard推奨)
- 現金(米ドルまたは日本円、到着後両替)
- SIMカードまたはeSIM(事前購入推奨)
- 国際運転免許証(レンタカー利用の場合)
服装・日用品
- 控えめな服装(膝と肩を覆うもの)
- アバヤ(女性・モスク訪問用)
- 日焼け止め(SPF50以上推奨)
- サングラスと帽子
- 歩きやすい靴(砂地も歩けるもの)
- 薄手の羽織りもの(冷房対策と朝晩用)
- スカーフ(女性・頭を覆う場面用)
- 水着(プライベートビーチやプール用)
電子機器
- スマートフォン(アプリダウンロード済み)
- 変換プラグ(タイプG・イギリス型)
- モバイルバッテリー(機内持ち込み注意)
- カメラ(砂埃対策のケース推奨)
持ち込み禁止品
- アルコール(一切不可)
- 豚肉製品(ハム、ベーコン、豚骨スープ等)
- イスラム教に反する書籍・映像
- 麻薬・違法薬物(厳罰)
言語とコミュニケーション
アラビア語の基本フレーズ
サウジアラビアの公用語はアラビア語ですが、主要都市では英語も通じます。ただし、基本的なアラビア語を覚えておくと、現地の人との距離がぐっと縮まります。
- アッサラーム・アライクム(平和があなたに):挨拶
- ワ・アライクム・アッサラーム:挨拶への返答
- シュクラン:ありがとう
- アフワン:どういたしまして
- マルハバ:こんにちは(カジュアル)
- ナアム:はい
- ラー:いいえ
- ビカム:いくらですか?
- ミン・ファドラック(男性へ)/ ミン・ファドリック(女性へ):お願いします
- マアッサラーマ:さようなら
- インシャッラー:神の御心のままに(「たぶん」の意味でも使われる)
コミュニケーションのコツ
サウジ人は一般的にフレンドリーで、外国人旅行者に親切です。挨拶は握手で行いますが、異性との握手は避けるのがマナーです。女性から手を差し出さない限り、男性は握手を求めません。
会話では、家族やサウジの発展について話すと喜ばれます。一方、政治や宗教に関する批判的な発言は避けましょう。
ホスピタリティ文化はサウジの誇りです。コーヒーやお茶、食事を勧められたら、断らずに受け取るのが礼儀です。一度断っても再度勧められることが多いですが、2〜3回勧められたら受け取りましょう。
おわりに:砂漠の王国があなたを待っている
サウジアラビアは、かつて「閉ざされた国」として知られていました。しかし今、この国は急速に変化し、世界中の旅行者を歓迎しています。2000年の歴史を持つ古代遺跡、世界最大の砂漠での満天の星、紅海の美しいサンゴ礁、そして温かいアラビアのホスピタリティ。ここでしか体験できないものがたくさんあります。
観光インフラはまだ発展途上の部分もありますが、それだけに「観光地化されていない」本物の体験ができます。ペトラよりも保存状態が良いヘグラ遺跡を、ほとんど独り占めで見学できる。ルブアルハリ砂漠で、光害のない満天の星を眺めながらベドウィンのコーヒーを飲む。そんな贅沢な体験が、まだ可能な数少ない場所です。
もちろん、サウジアラビアの旅行には一定の準備と心構えが必要です。服装規定や礼拝時間、アルコールの禁止など、他の国とは異なるルールがあります。しかし、これらを尊重することで、現地の人々との交流がより深いものになります。
ビジョン2030の下、サウジアラビアは2030年までに年間1億人の観光客誘致を目指しています。ネオムのような未来都市プロジェクトが完成すれば、この国の姿はさらに大きく変わるでしょう。今こそ、変化の只中にあるサウジアラビアを訪れる絶好のタイミングです。
砂漠の王国が、あなたの訪問を心待ちにしています。アハラン・ワ・サハラン(ようこそ)!
サウジアラビアの気候と地理
サウジアラビアはアラビア半島の約80%を占める広大な国で、面積は約215万平方キロメートル、日本の約5.7倍の大きさです。国土の大部分は砂漠で覆われていますが、地形は驚くほど多様です。
紅海沿岸は西部に約1,800kmにわたって広がり、美しいサンゴ礁と温暖な海水が特徴です。ジェッダはこの沿岸の中心都市で、湿度は高いものの、海風のおかげで内陸部よりも過ごしやすいです。
アシール山脈は南西部に連なり、標高3,000メートルを超える峰もあります。アブハ周辺は夏でも涼しく、緑豊かな景観が広がります。サウジ人にとっての避暑地であり、「サウジのスイス」とも呼ばれています。
ナフード砂漠は北部に広がる赤い砂の砂漠で、独特の景観を持っています。ルブアルハリ砂漠(「空虚の地」)は南東部を覆う世界最大の砂丘地帯で、その面積は約65万平方キロメートルにも及びます。
中央台地(ナジュド高原)には首都リヤドがあり、標高約600メートルの乾燥した高原が広がっています。夏は酷暑ですが、冬は穏やかで過ごしやすい気候です。
気温は地域と季節によって大きく異なります。夏のリヤドでは気温が50度近くになることもある一方、冬のアブハでは氷点下になることもあります。旅行の計画を立てる際は、訪問する地域の気候を事前に確認してください。
サウジアラビアの歴史概要
アラビア半島には数千年の歴史があります。紀元前数千年から交易の中継地として栄え、乳香やスパイスの貿易ルートが半島を縦断していました。
ナバテア王国(紀元前4世紀〜紀元後1世紀)は、アル・ウラー地方を中心に栄えた古代王国です。ヘグラはその南の首都で、精緻な岩窟墓所は今もその繁栄を物語っています。
イスラムの誕生(7世紀)は世界史に大きな転換点をもたらしました。預言者ムハンマドがメッカで生まれ、メディナでイスラム共同体を築いた歴史は、この地域のアイデンティティの核となっています。
サウード家は18世紀にアラビア半島中部で台頭しました。ディルイーヤ(現在のリヤド近郊)を拠点に勢力を拡大し、幾度かの興亡を経て、1932年にアブドゥルアズィーズ・イブン・サウードがサウジアラビア王国を建国しました。
石油の発見(1938年)は国の運命を一変させました。世界最大級の石油埋蔵量を誇るサウジは、石油輸出によって急速に近代化を遂げ、世界経済に大きな影響力を持つ国になりました。
ビジョン2030(2016年発表)は、石油依存からの脱却を目指す国家変革計画です。観光、エンターテイメント、テクノロジー産業の育成や、社会の開放を推進しています。女性の権利拡大、娯楽施設の解禁、観光ビザの発給開始など、数十年間変わらなかったこの国が急速に変化しています。
宿泊施設ガイド
サウジアラビアの宿泊施設は、近年急速に充実しています。世界的な高級ホテルチェーンからユニークなデザートキャンプまで、幅広い選択肢があります。
ラグジュアリーホテル
リヤドには、フォーシーズンズ、リッツカールトン、マンダリンオリエンタルなど、世界最高峰のホテルが揃っています。特にリッツカールトンリヤドは、かつて王子たちの「隔離施設」として使われたことでも知られる豪華なリゾートです。
ジェッダのパークハイアットは紅海を見渡すロケーションで、プライベートビーチも備えています。アル・ウラーのバニヤンツリーは、砂漠の真ん中にある究極のリトリートです。
中級ホテル
ヒルトン、マリオット、ホリデイインなどの国際チェーンが主要都市に展開しています。1泊300〜600リヤル(約12,000〜24,000円)程度で、安定したサービスを受けられます。Almosaferで予約すると、ローカルの料金が適用されることもあります。
デザートキャンプ
砂漠での宿泊は、サウジならではの体験です。アル・ウラーのシャーデンリゾートやハビタスでは、モダンな快適さとベドウィン文化の融合を楽しめます。ルブアルハリ砂漠では、より素朴なキャンプ体験も可能です。満天の星の下で過ごす夜は、一生の思い出になるでしょう。
予約のコツ
リヤドシーズン(10月〜3月)やイスラム教の祝日期間は予約が取りにくくなります。特にハッジ期間中のメッカ・メディナ周辺は、数ヶ月前から満室になることも。早めの予約をおすすめします。
ビザと入国情報の詳細
2019年9月、サウジアラビアは歴史上初めて観光ビザの発給を開始しました。日本を含む49カ国のパスポート保持者は、オンラインで簡単にビザを取得できます。
観光ビザ(eビザ)の申請方法
- 公式サイト(visitsaudi.com)にアクセス
- パスポート情報を入力
- 顔写真をアップロード(スマートフォンで撮影可)
- 535リヤル(約21,000円)を支払い
- 24〜48時間以内に承認メールが届く
ビザの有効期間は発行日から1年間で、複数回入国が可能です。1回の滞在は最大90日まで認められています。入国時にパスポートの有効期限が6ヶ月以上あることを確認してください。
到着時の手続きでは、指紋採取と顔写真撮影が行われます。入国審査は通常スムーズで、観光目的であれば特に質問されることはありません。
税関で注意すべきもの
- アルコール類は一切持ち込み禁止
- 豚肉・豚肉製品は禁止
- 麻薬類は厳罰(死刑を含む)
- イスラム教に反する書籍や映像は没収対象
- タバコは200本まで(2カートン)
現金の持ち込みには制限はありませんが、60,000リヤル(約240万円)相当以上は申告が必要です。
旅行中のトラブル対処法
パスポートを紛失した場合
最寄りの警察署で紛失届を出し、在サウジアラビア日本国大使館または在ジェッダ総領事館で渡航書の発給を受けます。パスポートのコピーと予備の証明写真を別の場所に保管しておくと、手続きがスムーズです。
病気やケガをした場合
主要都市には国際水準の私立病院があります。海外旅行保険の緊急連絡先に電話し、保険会社の指定する病院を確認してください。軽症であれば、ホテルのコンシェルジュに相談するのも一つの方法です。
盗難・犯罪に遭った場合
サウジは比較的治安が良い国ですが、万が一被害に遭った場合は警察(999)に通報してください。クレジットカードを盗まれた場合は、すぐにカード会社に連絡して利用を停止します。
交通事故を起こした場合
交通警察(993)に連絡し、事故現場を離れないでください。レンタカーの場合は、レンタカー会社にも連絡します。軽微な事故でも警察の報告書が必要です。
写真撮影のマナーと規制
サウジアラビアでは写真撮影に関するルールを守ることが重要です。違反すると罰金や拘留の対象になることもあります。
撮影が禁止されている場所
- 軍事施設とその周辺
- 政府機関の建物
- 空港の内部
- 石油関連施設
- モスクの内部(許可がある場合を除く)
人物撮影のマナー
現地の人、特に女性を許可なく撮影することは絶対に避けてください。トラブルの原因になります。撮影したい場合は必ず事前に許可を取りましょう。多くの場合、男性は快く応じてくれます。
観光地では比較的自由に撮影できますが、宗教的な施設や伝統的なエリアでは配慮が必要です。不安な場合は、撮影前にスタッフや周囲の人に確認してください。
季節ごとのイベント
リヤドシーズン(10月〜3月)
サウジ最大のエンターテイメントフェスティバルです。コンサート、スポーツイベント、展示会、フードフェスティバルなど、200以上のイベントが開催されます。世界的なアーティストも多数出演し、毎年数百万人の来場者を集めています。
ジェッダシーズン(6月〜7月)
紅海沿岸のジェッダで開催される夏のフェスティバル。ビーチパーティー、音楽イベント、文化体験などが楽しめます。
アル・ウラー・フェスティバル
冬季にアル・ウラーで開催される文化・芸術フェスティバル。マラヤコンサートホールでの国際的な音楽公演や、砂漠でのアートインスタレーションが見どころです。
ラマダン(イスラム暦9月)
断食月。日中は飲食店が閉まりますが、日没後のイフタール(断食明けの食事)は特別な体験になります。街全体がお祝いムードに包まれ、夜遅くまで賑わいます。
イードアルフィトル・イードアルアドハー
イスラム教の二大祝祭。ラマダン明けとハッジ後に祝われ、家族が集まり、ご馳走を食べ、プレゼントを交換します。観光客も地元の祝祭の雰囲気を楽しむことができます。
サウジアラビアのアートと建築
サウジアラビアは近年、アートと建築の分野でも世界的な注目を集めています。伝統的なイスラム芸術から最先端の現代アートまで、多様な表現が花開いています。
伝統的な建築様式
サウジアラビアには独自の建築伝統があります。ナジュディ建築はリヤドや中央高原に見られるスタイルで、泥レンガと木材を使い、直線的なデザインと三角形の装飾が特徴です。ディルイーヤのトライフ地区で最も美しい例を見ることができます。
ヒジャーズ建築はジェッダや紅海沿岸に見られ、珊瑚石とチーク材を使った塔状の建物が特徴です。精緻な木彫りの窓枠(ロシャン)は、海風を取り込み、プライバシーを守るための知恵です。アル・バラド旧市街でこの建築様式を堪能できます。
アシール建築は南西部の山岳地帯に見られ、石造りの塔と鮮やかなペインティングが特徴です。リジャール・アルマ村は、この様式の最も美しい例として知られています。
現代建築とメガプロジェクト
リヤドのキングダムセンタワーは、特徴的な開口部を持つ超高層ビルで、サウジの近代化のシンボルです。ジェッダで建設中のジェッダタワー(旧キングダムタワー)は、完成すれば高さ1,000メートルを超え、世界一高いビルになる予定です。
ネオムのザ・ラインは、170kmにわたる直線都市という前例のない建築構想で、世界中の建築家の注目を集めています。車のない、100%再生エネルギーで運営される都市は、まさに21世紀の建築の実験場です。
アートシーン
サウジアラビアのアートシーンは急速に発展しています。2017年に設立されたムスク財団は、サウジのアーティストを支援し、国際的な展覧会を開催しています。アル・ウラーの砂漠では、世界的なアーティストによるインスタレーションが展示され、自然と芸術の融合が見られます。
リヤドではダウンタウンデザインフェアやノール・リヤド(光の祭典)が開催され、現代アートや光のインスタレーションを楽しめます。ジェッダのアートシーンも活発で、21,39ジェッダアートなどの現代美術イベントが定期的に開催されています。
サウジアラビアの野生動物と自然保護
サウジアラビアは厳しい砂漠環境にもかかわらず、豊かな野生動物の宝庫です。政府は近年、野生動物の保護に力を入れており、いくつかの種が復活しつつあります。
アラビアオリックスは一度絶滅寸前まで追い込まれましたが、繁殖プログラムにより復活しました。白い体と長い角を持つこの美しいレイヨウは、サウジの自然保護のシンボルです。
アラビアヒョウは極めて希少な大型ネコ科動物で、アシール山脈の岩場に生息しています。野生での目撃は稀ですが、保護活動が進んでいます。
ヌビアアイベックス(野生ヤギの一種)は山岳地帯に生息し、断崖絶壁を自在に駆け回る姿が見られます。アブハ周辺で目撃されることがあります。
紅海の海洋生物は特に豊かで、ウミガメ、イルカ、マンタ、ジンベエザメなどが生息しています。ダイビングやシュノーケリングで、これらの生物に出会えることも。
鳥類観察も人気があります。サウジは渡り鳥の重要な中継地点で、春と秋には多くの渡り鳥が通過します。紅海沿岸のマングローブ林は、フラミンゴやサギなどの水鳥の生息地です。
サウジアラビアのスポーツ観戦
ビジョン2030の一環として、サウジアラビアはスポーツ産業を積極的に発展させています。世界的なスポーツイベントが次々と開催され、スポーツファンにとっても魅力的な目的地になりつつあります。
サッカーはサウジで最も人気のあるスポーツです。サウジ・プロリーグには、クリスティアーノ・ロナウド、ネイマール、カリム・ベンゼマなど、世界的なスター選手が所属しています。リヤドのキング・ファハド・スタジアムやアル・アワル・パークでリーグ戦を観戦できます。
F1サウジアラビアグランプリはジェッダのコルニーシュ・サーキットで毎年開催されています。街中を走る高速コースは世界最速のストリートサーキットとして知られ、迫力満点のレースが展開されます。
ボクシングの世界タイトルマッチも頻繁に開催されています。アンソニー・ジョシュア対アンディ・ルイスのリマッチ(2019年)や、タイソン・フューリー対フランシス・ガヌー(2023年)など、ビッグマッチがサウジで行われています。
ダカールラリーは2020年からサウジアラビアで開催されています。2週間にわたって砂漠を駆け抜けるこの過酷なレースは、サウジの広大な砂漠を世界に紹介する絶好の機会となっています。
ゴルフも成長分野で、LIVゴルフツアーの多くの大会がサウジで開催されています。ジェッダやリヤドには国際水準のゴルフコースがあります。