マスカット
マスカット2026:旅行前に知っておくべきこと
オマーンの首都マスカットは、アラビア半島の東端に位置する港町です。ドバイやアブダビのような派手な超高層ビル群はありませんが、その代わりに古くからの港町の風情、荒々しい山岳地帯、透き通った海が織りなす自然美があります。建物の高さ制限や色彩規制により、街全体が白とベージュで統一された美しい景観を保っており、初めて訪れる方は「こんなに品のあるアラブの都市があったのか」と驚かれることでしょう。
治安は中東でもトップクラスに良好で、日本の外務省の危険情報も出ていません。女性の一人旅でも安心して歩ける数少ないアラブの首都です。人口約150万人のコンパクトな都市ながら、スルタン・カブース・グランド・モスクのような壮麗な建築、ムトラ・スークの活気ある市場、そして車で1時間圏内に広がるワディ(涸れ谷)やシンクホールなど、見どころが凝縮されています。
日本からの直行便はありませんが、ドバイ経由で約14時間、カタール航空のドーハ経由でも同程度です。時差は日本マイナス5時間。通貨はオマーン・リアル(OMR)で、1リアルは約380円(2026年3月時点)です。物価はドバイより若干安いものの、アラブ諸国の中では高めの部類に入ります。英語が広く通じるため、アラビア語ができなくても旅行に困ることはほぼありません。ビザは到着時に空港で取得可能(日本国籍の場合)で、手続きも簡単です。
エリアガイド:どこに泊まるべきか
マスカットは東西に約50km以上に細長く伸びた都市で、山と海に挟まれた地形のため、エリアごとに雰囲気がかなり異なります。宿泊エリアの選択は旅の満足度を大きく左右しますので、目的に合わせて慎重に選びましょう。
ムトラ地区(Muttrah)
マスカット観光の中心地であり、最も「アラビアらしい」雰囲気を味わえるエリアです。ムトラ・コルニッシュ沿いには漁船が並び、夕暮れ時には地元の家族連れが散歩を楽しんでいます。ムトラ・スークまでは徒歩圏内で、ムトラ砦も目と鼻の先。中級ホテルが多く、1泊8,000〜15,000円(USD 55〜100)程度で清潔な部屋が見つかります。欠点は、他のエリアへの移動にタクシーが必須なこと。大型ショッピングモールやレストランの選択肢は限られますが、「旅情」を重視するならここが一番です。コルニッシュ沿いのホテルを選べば、毎朝海を眺めながらの朝食が楽しめます。
オールド・マスカット地区(Old Muscat)
かつてのオマーンの政治の中心地で、アル・アラム宮殿、アル・ミラニ砦、アル・ジャラリ砦が集中するエリアです。オマーン国立博物館やバイト・アル・ズバイル博物館もここにあります。宿泊施設は少ないものの、歴史的建造物を改装したブティックホテルがいくつかあり、独特の体験ができます。1泊15,000〜30,000円(USD 100〜200)と少し高めですが、マスカットの歴史を肌で感じたい方にはおすすめです。夜は非常に静かで、ムトラ地区まで車で5分ほどの距離です。
クルム地区(Qurum)
マスカットの中間エリアに位置し、クルム・ビーチとクルム自然公園に隣接する住みやすいエリアです。クルム・ナチュラル・パーク周辺にはカフェやレストランが充実し、ショッピングモール「マスカット・グランドモール」も近くにあります。中級から高級ホテルが揃い、1泊10,000〜25,000円(USD 70〜170)。ビーチリゾート感と都市の利便性を両立したい方に最適です。ムトラ地区までタクシーで15〜20分、空港まで30分程度とアクセスも良好。日本人旅行者にとっては最もバランスの良い選択肢と言えるでしょう。
アル・フワイル地区(Al Khuwair)
政府機関やオフィスが集まるビジネス街ですが、近年はレストランやカフェが増え、観光客にも使い勝手の良いエリアになっています。アル・フワイル広場周辺は夕方になると賑わいを見せます。ホテルは中級クラスが中心で、1泊7,000〜14,000円(USD 48〜95)とコストパフォーマンスに優れています。スルタン・カブース・グランド・モスクへのアクセスが良いのもポイントです。ただし、海からは少し離れるため、ビーチリゾート感を求める方には不向きです。
シャティ・アル・クルム地区(Shatti Al Qurum)
高級ホテルが並ぶマスカット屈指のリゾートエリアです。インターコンチネンタル、グランドハイアット、クラウンプラザなどの国際ブランドホテルが海沿いに並びます。1泊25,000〜60,000円(USD 170〜400)と価格帯は高めですが、プライベートビーチ、プール、スパなどの施設が充実しており、ホテル内で完結するリゾートステイが可能です。ロイヤル・オペラ・ハウス・マスカットも徒歩圏内にあり、文化的な夜の過ごし方も楽しめます。日本のJCBカードは高級ホテル内ではほぼ使えますが、念のためVisaまたはMastercardも持参してください。
ボーシャル地区(Bawshar)
マスカットの内陸部に広がる住宅地で、観光客はほとんど訪れません。その分、ローカルレストランの価格は非常に手頃で、カレーやビリヤニが300〜500円(USD 2〜3.5)で食べられます。Airbnbやアパートメントホテルで長期滞在する場合はここが穴場です。1泊5,000〜9,000円(USD 34〜60)。スーパーマーケットや地元の商店が充実しており、生活感のある滞在が楽しめますが、観光スポットへはタクシー移動が必須です。
マスカット国際空港周辺(Seeb / As Seeb)
空港に隣接するシーブ地区は、深夜着・早朝発のフライトに便利なエリアです。空港ホテルやビジネスホテルが中心で、1泊6,000〜12,000円(USD 40〜80)。マスカット市内中心部まではタクシーで30〜40分かかるため、トランジット利用や最終日の宿泊に向いています。シーブ・スークという地元の市場もあり、ムトラ・スークほど観光客向けではない分、よりリアルなオマーン人の日常を垣間見ることができます。大型ショッピングモール「マスカット・シティ・センター」と「オマーン・アベニューズモール」が近くにあり、お土産の調達にも便利です。
ベストシーズン
マスカットの気候は、一言で言えば「夏は灼熱、冬は快適」です。旅行計画を立てる際に最も重要なポイントなので、しっかり把握しておきましょう。
ベストシーズン:10月下旬〜3月(乾季・冬季)
日中の気温が25〜30度前後で、湿度も低く、非常に過ごしやすい時期です。特に11月〜2月がゴールデンタイムで、朝晩は20度を下回ることもあり、長袖の羽織りものが必要になることも。この時期はワディ・ハイキングや砂漠ツアーにも最適で、屋外でのアクティビティを存分に楽しめます。ただし、この時期はヨーロッパからの観光客が集中するため、ホテル料金が年間で最も高くなります。特に年末年始とイード(イスラムの祝日)前後は料金が2〜3倍に跳ね上がることもあるので、早めの予約が必須です。
ショルダーシーズン:4月・10月
気温が30〜35度に上がりますが、まだ耐えられる範囲です。ホテル料金が下がり始めるため、コストを抑えたい方には狙い目の時期。4月はラマダン(断食月)と重なる年もあるため、日中のレストラン営業状況を事前に確認してください。ラマダン中でも外国人向けのホテル内レストランは通常営業していますが、街中の飲食店は日没後まで閉まっていることがあります。10月は夏の暑さが和らぎ始める時期で、海水温がまだ高いためシュノーケリングやダイビングには絶好のコンディションです。ダイマニヤット諸島でのダイビングは9月下旬〜11月が最もおすすめです。
避けるべき時期:5月〜9月(夏季)
気温が40〜50度に達し、湿度も80%を超えることがあります。屋外での観光はほぼ不可能で、数分歩くだけでも危険を感じるレベルの暑さです。ホテル料金は最も安くなりますが(冬季の半額以下になることも)、観光目的での訪問はおすすめしません。もしこの時期に訪れる場合は、早朝(6〜8時)と夜間(20時以降)の活動に限定し、日中はエアコンの効いたモールや博物館で過ごすのが賢明です。7〜8月にはカリーフ(霧雨)の影響でサラーラ(オマーン南部)は涼しく緑豊かになりますが、マスカットには恩恵がありません。
日本の大型連休との兼ね合いでは、年末年始と2月の三連休が最も条件の良い時期です。ゴールデンウィーク(4月末〜5月初旬)は気温が35度前後まで上がっており、快適とは言いにくいですが、まだ何とか観光できるギリギリのラインです。夏休み(7〜8月)の訪問は避けた方が無難でしょう。
モデルコース:3日間から7日間
3日間コース:マスカットのハイライト
1日目:歴史と文化の日
午前中にスルタン・カブース・グランド・モスクを訪問(8:00〜11:00のみ見学可能、金曜休館)。オマーン最大のモスクで、世界第2位の手織りペルシャ絨毯と巨大なクリスタル・シャンデリアは圧巻です。女性はアバヤの貸し出しがありますが、長袖・長ズボンの服装が求められます。所要時間は約1.5時間。その後、タクシーでオールド・マスカットへ移動し、オマーン国立博物館(入場料5 OMR / 約1,900円 / USD 13)で2時間ほどオマーンの歴史を学びます。続けてバイト・アル・ズバイル博物館(無料)を見学し、アル・アラム宮殿の外観と、両脇に構えるアル・ミラニ砦・アル・ジャラリ砦を写真に収めましょう。夕方はムトラ・コルニッシュを散策し、夕日を楽しんだ後にムトラ・スークでショッピング。乳香(フランキンセンス)、オマーンの伝統的な短剣(ハンジャル)のミニチュア、ローズウォーターなどがお土産に人気です。スークでは値段交渉が基本で、最初の提示価格の60〜70%程度を目安に交渉してみてください。
2日目:自然と冒険の日
早朝にレンタカーまたはツアーでワディ・シャブへ(マスカットから車で約1.5時間)。渡し船(1 OMR / 約380円 / USD 2.6)で対岸に渡り、峡谷をハイキング。約45分歩くとエメラルドグリーンの天然プールに到着します。さらに泳いで奥に進むと小さな洞窟滝があり、体力のある方はぜひ挑戦を。水着と防水バッグは必須。帰り道にビマ・シンクホールに立ち寄りましょう。石灰岩が陥没してできた天然のプールで、青緑色の水が神秘的です。入場無料、更衣室・トイレあり。マスカットに戻ったら、クルム・ビーチで夕日を眺めながら一日の疲れを癒してください。
3日目:リゾートとショッピングの日
午前中はロイヤル・オペラ・ハウス・マスカットの外観を見学(公演がない日はガイドツアーあり、3 OMR / 約1,140円 / USD 7.8)。大理石を贅沢に使ったアラブ建築の傑作です。その後、スルタン・カブース・ローズガーデンで散策を楽しみ、午後はクルム自然公園やショッピングモールでゆったり過ごしましょう。最後にリヤム公園から港を見下ろす景色を楽しんで旅を締めくくります。
5日間コース:+島と砂漠
4日目:ダイマニヤット諸島
マスカットから船で約1時間のダイマニヤット諸島へ日帰りツアー(1人約25〜40 OMR / 約9,500〜15,200円 / USD 65〜104)。ユネスコ自然保護区に指定されている無人島群で、シュノーケリングやダイビングが楽しめます。ウミガメとの遭遇率が高く、サンゴ礁も健康な状態が保たれています。10月〜4月のみアクセス可能で、夏季は保護のため立入禁止。船酔いが心配な方は事前に酔い止めを服用してください。ツアーには昼食、器材、送迎が含まれることが多いです。
5日目:ニズワとジェベル・アフダル
マスカットから車で約1.5時間のニズワへ。金曜日に訪れれば、有名な家畜市場(ヤギのオークション)を見学できます。ニズワ城塞を見学後、さらに車で1時間のジェベル・アフダル(緑の山)へ。標高2,000m以上の高地で、バラの段々畑やクルミの果樹園が広がる別世界です。四輪駆動車が必須で、レンタカーの場合はSUVを選んでください。ツアー参加の場合は1人約30〜50 OMR(約11,400〜19,000円 / USD 78〜130)程度です。
7日間コース:+砂漠とサラーラ
6日目:ワヒバ砂漠(シャルキーヤ・サンズ)
マスカットから車で約3時間の砂漠でデザートキャンプ体験。砂丘のデューン・バッシング(四駆で砂丘を走るアトラクション)、ラクダ乗り、星空観察が楽しめます。砂漠のキャンプは1泊2食付きで30〜80 OMR(約11,400〜30,400円 / USD 78〜208)。満天の星空の下で眠る体験は一生の思い出になるでしょう。冬季でも砂漠の夜は冷え込むため、防寒着をお忘れなく。
7日目:スール&ラス・アル・ジンズ、またはマスカットでゆっくり
砂漠からの帰り道に、伝統的なダウ船の造船所があるスールに立ち寄るルートがおすすめです。また、ラス・アル・ジンズではウミガメの産卵を観察できます(要予約、夜間ツアー)。あるいは、マスカットに戻ってオマーン水族館やマスカット門博物館など、まだ訪れていないスポットをゆっくり回るのも良いでしょう。最終日はスーク近くのカフェでオマーン・コーヒーを飲みながら、旅の思い出に浸ってください。
グルメガイド:レストラン&カフェ
マスカットの食事情は、アラブ料理を基軸にインド、パキスタン、フィリピン、タイ、中華など、多国籍な労働者が持ち込んだ多彩な食文化が混在しています。日本食レストランも数軒ありますが、品質と価格のバランスを考えると、現地の料理を堪能する方が旅の満足度は高いでしょう。
高級レストラン(1人4,000〜12,000円 / USD 27〜80)
The Restaurant at The Chedi Muscatは、マスカットで最も洗練されたダイニング体験を提供します。アラブ料理とインターナショナル料理の融合で、プールサイドの席は特に雰囲気抜群です。ドレスコードはスマートカジュアル。予約必須。Bait Al Lubanはムトラ・コルニッシュ沿いに位置する老舗オマーン料理レストランで、海を見ながら伝統的なシュワ(地中で蒸し焼きにした子羊)やハルワ(オマーンの伝統菓子)を楽しめます。観光客にも地元民にも愛される名店です。Kargeen Caffeはクルム地区にある庭園レストランで、ヤシの木の下でアラブ料理をいただくユニークな体験ができます。夜はライトアップされて幻想的な雰囲気に。
中級レストラン(1人1,500〜4,000円 / USD 10〜27)
Ubhar Bistroはモダン・オマーン料理の先駆的存在で、伝統的なレシピを現代風にアレンジした料理が評判です。シャルキーヤ・ラム(東部オマーンの羊肉料理)やデーツを使ったデザートが絶品。Turkish Houseはアル・フワイル地区にあるトルコ料理店で、ケバブ、メゼ、ピデ(トルコ風ピザ)が日本人の口にもよく合います。ポーションが大きいので、2人でシェアするくらいがちょうど良いでしょう。Automatic Restaurantはレバノン料理チェーンで、ファラフェル、シャワルマ、フムスなど中東料理の定番が手軽に楽しめます。お一人様でも入りやすい雰囲気です。
カジュアル・ローカルフード(1人500〜1,500円 / USD 3.4〜10)
ムトラ・スーク周辺やアル・フワイル地区の裏通りには、インド系・パキスタン系の食堂が多数あります。ビリヤニ、タンドリーチキン、ダール(豆カレー)がOMR 1〜2(約380〜760円 / USD 2.6〜5.2)で食べられます。衛生面は日本の基準で見ると不安を感じる方もいるかもしれませんが、回転の速い人気店を選べばまず問題ありません。Bin Ateeqはオマーン人に人気のローカルチェーンで、伝統的なオマーン料理がリーズナブルに楽しめます。床に座ってマジュリス(応接間)スタイルで食事するのが本場のスタイルです。
カフェ文化
マスカットのカフェ文化は近年急速に発展しており、サードウェーブ系のスペシャルティコーヒーショップが増えています。Bateel Cafe(デーツ専門店併設のエレガントなカフェ)、Caffe Vergnano(イタリアンコーヒー)、%Arabica(京都発のコーヒーチェーン、オマーンにも進出)などが人気です。オマーン伝統のカフワ(カルダモン入りアラブコーヒー)はデーツと一緒にいただくのが正式な作法で、ほとんどのカフェで注文できます。一杯OMR 0.5〜1.5(約190〜570円 / USD 1.3〜3.9)程度です。
絶対食べたい料理
オマーン料理は中東料理の中でもスパイス使いが繊細で、日本人の味覚に合いやすいと言われています。以下の料理は、マスカット滞在中にぜひ一度は試していただきたいものばかりです。
シュワ(Shuwa):オマーンの国民的ごちそう。スパイスをまぶした子羊や山羊の肉をバナナの葉で包み、地中の炭火で24〜48時間かけてじっくり蒸し焼きにします。肉は箸(フォーク)で崩れるほど柔らかく、深いスモーキーな風味が特徴。イードなどの祝祭日に家庭で作られる特別料理ですが、レストランでも注文できます。ライスと一緒にどうぞ。
マジブース(Majboos / Kabsa):スパイスライスの上に焼いたチキンまたはラムを載せた、いわばアラブ版ビリヤニ。カルダモン、クローブ、シナモン、サフラン、ドライレモン(ルーミー)で炊き込んだご飯は香り豊かで、日本人にも馴染みやすい味わいです。どのオマーン料理レストランでも定番メニューとして提供されています。一皿OMR 2〜4(約760〜1,520円 / USD 5.2〜10.4)。
ハリース(Harees):小麦と肉をペースト状になるまで煮込んだ素朴な料理。見た目は地味ですが、トロトロの食感とやさしい味わいは日本のお粥に通じるものがあります。ラマダン中のイフタール(断食明けの食事)に欠かせない一品。バターやシナモンをかけていただきます。
マシュアイ(Mashuai):キングフィッシュ(ヒラマサに似た白身魚)を丸ごとタンドール窯で焼いた豪快な料理。レモンライスと一緒に供され、外はパリッと中はジューシー。魚好きの日本人にはたまらない一品です。海沿いのレストランで特に美味しく、1皿OMR 3〜6(約1,140〜2,280円 / USD 7.8〜15.6)。
ハルワ(Halwa):オマーンの伝統的なスイーツで、砂糖、澱粉、ギー(バターオイル)、サフラン、ローズウォーター、ナッツを煮詰めて作るゼリー状の菓子。非常に甘いですが、アラブコーヒーとの相性は抜群。ムトラ・スークで量り売りされており、お土産にも最適です。100gあたりOMR 0.5〜1(約190〜380円 / USD 1.3〜2.6)。
ルクマット(Luqaimat):小さな揚げドーナツにデーツシロップをたっぷりかけた、オマーン版揚げ菓子。外はカリッと、中はモチモチ。屋台やカフェで手軽に食べられ、おやつに最適です。一皿OMR 0.5〜1(約190〜380円 / USD 1.3〜2.6)。
ミシュカク(Mishkak):マスカットの屋台フードの王様。牛肉や鶏肉の串焼きで、スパイシーなピーナッツソースにつけていただきます。インドネシアのサテに似ており、夕方のムトラ・コルニッシュ沿いで焼かれている光景はマスカットの風物詩です。1本OMR 0.1〜0.2(約38〜76円 / USD 0.26〜0.52)と非常にリーズナブル。
サンブーサ(Samboosa):インドのサモサのオマーン版。三角形の揚げパイの中に、スパイスの効いた挽肉やチーズが入っています。どこでも売られているスナックで、ラマダン中は特に消費量が爆増します。1個OMR 0.1(約38円 / USD 0.26)程度。
カフワとデーツ(Kahwa & Dates):料理ではありませんが、オマーンの歓待文化の象徴。カルダモン入りの薄い黄金色のコーヒーと、甘いデーツ(ナツメヤシ)を交互にいただきます。ホテル、レストラン、ショップ、さらには政府機関でも提供されることがあり、断るのは失礼にあたるとされています。最低一杯は受け取りましょう。カップを左右に振ると「もう十分です」の合図になります。
地元民だけが知る秘密のコツ
ガイドブックには載っていない、マスカットをより深く楽しむためのインサイダーティップスをお伝えします。これらは現地在住の日本人コミュニティや、オマーン人の友人から集めた実用的な情報です。
- 金曜日の朝は穴場タイム。イスラム教の休日である金曜日は、午前中の道路がガラガラです。普段は渋滞するムトラ地区周辺も、金曜の朝なら快適に移動できます。ただし、モスクの見学は金曜休館なのでご注意を。逆に金曜の夕方以降はモールやコルニッシュが大混雑します。
- 値段交渉はスーク以外でもOK。ムトラ・スークだけでなく、個人経営の小さなショップでも値段交渉は一般的です。ただし、スーパーマーケットやモール内のチェーン店では定価販売。「ベストプライスは?」と笑顔で聞くだけで、10〜20%程度は値引いてくれることが多いです。
- 写真撮影の礼儀を守る。オマーン人は一般的にフレンドリーですが、許可なく人物を撮影するのはマナー違反です。特に女性の撮影は絶対に避けてください。軍事施設や政府機関の撮影も禁止されています。風景写真は自由に撮れますが、迷ったら一声かけましょう。
- 水道水は飲まない方がいい。マスカットの水道水は海水を淡水化したもので、安全基準は満たしていますが、ミネラル分が少なく味が良くありません。ペットボトルの水(OMR 0.1〜0.2 / 約38〜76円 / USD 0.26〜0.52)を常に持ち歩きましょう。ホテルの部屋には無料の水が置いてあることがほとんどです。
- ラマダン中でも楽しめる。ラマダン期間中にマスカットを訪れる場合、日中は公共の場での飲食・喫煙を控えるのが礼儀ですが、ホテル内のレストランは通常営業しています。むしろ、日没後のイフタール・ビュッフェは一年で最も豪華な食事体験で、普段は食べられない特別料理が並びます。各ホテルが競い合うように特別メニューを提供するので、一度は体験する価値があります。
- レンタカーは国際免許で借りられる。日本の国際運転免許証でOK。右側通行なので最初は緊張しますが、道路は広くて整備されており、ラウンドアバウト(環状交差点)の仕組みさえ覚えれば快適にドライブできます。ガソリンはOMR 0.2/L程度(約76円 / USD 0.52)と日本の半額以下。ただし、ワディなど未舗装路に入る場合は必ず四輪駆動車を選んでください。
- チップは義務ではないが歓迎される。レストランの会計にはすでにサービス料が含まれていることが多いですが、良いサービスを受けた場合は会計の5〜10%程度のチップを残すのが一般的です。タクシー運転手にはOMR 0.2〜0.5程度の上乗せで十分。ホテルのポーターやルームサービスにはOMR 0.5(約190円)程度が目安です。
- 乳香(フランキンセンス)は南部産が最高級。ムトラ・スークでは様々なグレードの乳香が売られていますが、最高品質はドファール地方(サラーラ周辺)産の白色の粒です。焚いた時の香りが全く異なるので、可能であれば少量を焚いて試してから購入しましょう。品質の良い乳香100gでOMR 2〜5(約760〜1,900円 / USD 5.2〜13)です。
- アプリをダウンロードしておく。タクシー配車アプリ「OTaxi」はオマーン政府公認のサービスで、メーター制のため安心です。「Mwasalat」はバスの路線・時刻表アプリ。Google Mapsは基本的に正確ですが、ワディ周辺では道が表示されないことがあるので、Maps.meのオフライン地図も入れておくと安心です。
- 服装は控えめに、でも堅くなりすぎなくて大丈夫。モスクの見学時以外は、肩と膝が隠れる程度の服装で十分です。ビーチやプールでは水着OK。ショッピングモールにはドレスコードの掲示がありますが、日本人の一般的な服装なら全く問題ありません。
- 薬局は充実しているが処方箋が必要なものも。日本では市販薬として買えるものでも、オマーンでは処方箋が必要な場合があります。常備薬は必ず日本から持参してください。特に胃腸薬と日焼け止めは必須です。
- 木曜・金曜の夜はコルニッシュが最も賑やか。オマーンの週末は金曜・土曜ですが、木曜の夜から人が繰り出し始めます。ムトラ・コルニッシュ沿いには屋台が出て、家族連れやカップルで溢れます。地元の雰囲気を味わうなら木曜夜のコルニッシュ散歩がおすすめです。
交通&通信
空港からのアクセス
マスカット国際空港(MCT)は2018年にリニューアルされた美しい空港で、到着後の手続きもスムーズです。市内中心部(ムトラ地区)までは車で約30〜40分。移動手段は以下の通りです。
タクシー:空港出口にタクシーカウンターがあり、行き先別の定額料金が表示されています。ムトラ地区までOMR 8〜10(約3,040〜3,800円 / USD 21〜26)、クルム地区までOMR 6〜8(約2,280〜3,040円 / USD 15.6〜21)。メーター制ではなく交渉制のタクシーもいますが、空港カウンターの公定価格を利用する方が安心です。深夜到着の場合は20〜30%の割増があります。
空港バス:Mwasalat社の空港バスがルイ・バスターミナルまで運行しており、OMR 0.5(約190円 / USD 1.3)と格安。ただし、本数が限られており(1〜2時間に1本)、大きな荷物がある場合は不便です。
ホテル送迎:高級ホテルではリムジンまたはSUVでの空港送迎サービスを提供しています。片道OMR 15〜25(約5,700〜9,500円 / USD 39〜65)と割高ですが、快適さと安心感は最高です。事前予約制。
市内交通
タクシー(最も一般的):マスカットでの主要な移動手段です。白とオレンジのツートーンカラーが目印の公営タクシーと、配車アプリ「OTaxi」があります。公営タクシーはメーターが付いていますが、使わない運転手も多いので、乗車前に必ず料金を確認してください。市内の短距離移動でOMR 1〜3(約380〜1,140円 / USD 2.6〜7.8)程度。OTaxiアプリを使えば事前に料金が表示されるので安心です。
路線バス:Mwasalat社が運行する路線バスは、主要観光スポットをカバーしています。料金はOMR 0.2〜0.5(約76〜190円 / USD 0.52〜1.3)と非常に安いですが、本数が少なく(30分〜1時間に1本)、時刻通りに来ないこともあります。空調完備で清潔ですが、バス停間の距離が長いため、最寄りのバス停から目的地まで歩くことになる場合が多いです。
レンタカー:マスカット市内だけならタクシーで十分ですが、ワディやニズワなど郊外に足を伸ばすならレンタカーが便利です。空港にBudget、Hertz、Eurocar、地元のFaisal Al Mujainiなどのカウンターがあります。コンパクトカーで1日OMR 10〜20(約3,800〜7,600円 / USD 26〜52)、SUVで1日OMR 25〜40(約9,500〜15,200円 / USD 65〜104)。国際免許証は必須。満25歳以上が条件の会社がほとんどです。ガソリンスタンドは市内に十分あり、フルサービス(店員が給油してくれる)が一般的です。
通信環境
SIMカード:空港の到着ロビーにOoredooとOmantelのカウンターがあり、観光客向けのプリペイドSIMが購入できます。パスポート提示が必要です。データ通信10GBで約OMR 5〜8(約1,900〜3,040円 / USD 13〜21)、30日間有効。通話やSMSも含まれているプランが一般的です。速度は4G/LTEが主流で、市内ではストレスなく使えます。ワディや砂漠など郊外では電波が弱くなることがあります。
eSIM:最近はeSIM対応のスマートフォンをお持ちの方も多いでしょう。Airalo、Holafly、Nomadなどのサービスで、日本にいながらオマーン用のeSIMを購入できます。1GB〜10GBのプランがUSD 5〜20程度で、到着と同時に使い始められるのが魅力です。
Wi-Fi:ホテル、カフェ、ショッピングモールでは無料Wi-Fiが利用できます。速度はホテルのグレードによって大きく異なりますが、高級ホテルなら動画視聴も問題ないレベルです。街中のフリーWi-Fiは安全面で不安があるため、重要な操作(オンラインバンキングなど)はSIM回線を使うことをおすすめします。
VPN:オマーンではVoIPサービス(LINE通話、WhatsApp通話、Skype、FaceTimeなど)がブロックされている場合があります。日本の家族と通話したい場合はVPNアプリを事前にインストールしておくと安心です。ただし、VPNの使用自体はグレーゾーンであり、個人利用で問題になったケースはほぼ報告されていません。
JCBカードについて:オマーンでのJCBカードの普及率は低く、使える場所は限られています。高級ホテルや一部の大型ショッピングモールでは受け付けてくれることがありますが、基本的にはVisaまたはMastercardをメインに持参してください。現金はOMRが基本で、USドルは一部の観光地やホテルで受け付けてくれますが、お釣りはOMRになります。ATMは市内に多数あり、国際カードで現地通貨を引き出せます(手数料OMR 1〜2程度)。
マスカットはこんな人向け:まとめ
マスカットは、ドバイの喧騒に疲れた旅行者、アラブ文化に触れたいけれど保守的すぎる国は避けたい方、そして自然と歴史のバランスが取れた旅先を探している方にぴったりの目的地です。
特におすすめの方:中東初心者で安全な国から始めたい方。シュノーケリングやハイキングなどアウトドアが好きな方。食べ歩きが好きで、多国籍料理を楽しみたい方。写真映えする風景を求めている方。静かで上品なアラブの雰囲気を味わいたい方。歴史や博物館が好きな方。
あまり向かない方:ナイトライフ重視の方(マスカットのバーやクラブはホテル内に限られ、規模も小さい)。ショッピング目的の方(ドバイやバーレーンの方が選択肢豊富)。真夏にしか休みが取れない方(5〜9月の観光は厳しい)。公共交通機関だけで動きたい方(バスの便は限られている)。
3〜4日あればマスカットの主要スポットは十分に回れますが、ワディや砂漠まで足を伸ばすなら5〜7日間の滞在をおすすめします。ドバイやアブダビとの周遊も、飛行機で1時間の距離なので組み合わせやすいです。「静かなアラビア」を体験したい方には、きっと忘れられない旅になるでしょう。