成都
成都2026:旅行前に知っておくべきこと
成都は中国西南部に位置する四川省の省都であり、人口2100万人を超える巨大都市です。しかし、北京や上海のような緊張感はなく、成都にはどこか穏やかで、のんびりとした空気が流れています。中国人自身が「最も住みやすい都市」と評価するこの街は、日本人旅行者にとっても非常に居心地の良い場所です。
まず知っておくべきことは、成都はパンダだけの街ではないということ。もちろん成都パンダ繁殖研究基地は必見ですが、三千年以上の歴史を持つ古蜀文明の中心地であり、ユネスコ美食都市にも認定された食の宝庫でもあります。火鍋、麻婆豆腐、担々麺の本場で、毎食が冒険です。
日本からのアクセスも良好で、成田・関空から直行便が運航しています。フライト時間は約5〜6時間。時差はわずか1時間(日本が1時間進んでいる)なので、時差ボケの心配はほぼありません。物価は日本の3分の1から半分程度で、タクシー初乗りが9元(約180円)、地下鉄が2〜7元(約40〜140円)という水準です。
注意点として、成都の英語普及率は高くありません。観光地やホテルでは通じますが、ローカルな食堂や市場では中国語のみです。翻訳アプリは必須。また、中国ではGoogle、LINE、Instagramなどが使えないため、VPNを出発前にダウンロードしておくことが極めて重要です。WeChat PayとAlipayの設定も事前に済ませましょう。2025年以降、外国人のAlipay利用がかなり便利になりました。
成都のエリアガイド:どこに泊まるべきか
成都は広大な都市ですが、観光に適したエリアは比較的コンパクトにまとまっています。地下鉄網が充実しているため、どのエリアに泊まっても主要観光地へのアクセスは容易です。ここでは7つの主要エリアを紹介します。
1. 春熙路・太古里エリア(都心部)
成都太古里を中心とするこのエリアは、成都の商業の心臓部です。高級ブランドショップ、おしゃれなカフェ、レストランが集中し、夜遅くまで賑わいます。地下鉄2号線・3号線の春熙路駅が最寄りで、どこへ行くにも便利。ホテルの選択肢が最も多く、1泊300〜800元(約6,000〜16,000円)で良質なホテルが見つかります。日本のデパート感覚で買い物ができるので、日本人旅行者には最も安心感があるエリアです。JCBカードが使える店舗もこのエリアに集中しています。ただし、地元のディープな成都を体験したい方には少々きれいすぎるかもしれません。
2. 寛窄巷子エリア(歴史地区)
寛窄巷子周辺は、清代の建築が残る歴史的なエリアです。古い四合院(中庭を囲む伝統建築)をリノベーションしたブティックホテルやゲストハウスが点在し、成都らしい雰囲気を味わえます。1泊200〜600元(約4,000〜12,000円)。人民公園や文殊院にも徒歩圏内で、朝の散歩が非常に楽しいエリアです。地下鉄4号線の寛窄巷子駅から直結。難点は、週末と祝日は観光客でかなり混雑すること。平日の宿泊をおすすめします。
3. 武侯祠・錦里エリア(南西部)
武侯祠と錦里古街を核とするこのエリアは、三国志ファンの聖地です。日本人に特に人気が高く、三国志関連のグッズやお土産が充実しています。周辺にはビジネスホテルクラスの宿が多く、1泊180〜400元(約3,600〜8,000円)とリーズナブル。地下鉄3号線の高升橋駅が最寄り。夜の錦里は赤い提灯に照らされた美しい光景が広がり、散策するだけで価値があります。欠点は、都心部から少し離れていること。ただし地下鉄で春熙路まで15分程度です。
4. 天府広場エリア(行政中心)
天府広場は成都の地理的中心で、地下鉄1号線と2号線が交差する交通の要衝です。四川省博物館、四川省図書館、成都博物館が集中し、文化的な滞在に最適。ホテルは中級クラスが中心で、1泊250〜500元(約5,000〜10,000円)。ビジネス目的の滞在にも向いています。周辺は官庁街のため夜は静かで、繁華街の喧騒が苦手な方には良い選択です。四川料理の有名店もこのエリアに複数あります。
5. 文殊院エリア(下町)
文殊院周辺は、成都のローカルな日常生活が色濃く残るエリアです。朝から茶館で麻雀をする地元民、路地裏の小さな食堂、昔ながらの市場。ゲストハウスやユースホステルが多く、バックパッカーに人気。1泊80〜250元(約1,600〜5,000円)と最も経済的。文殊院の精進料理レストランは隠れた名店です。地下鉄1号線の文殊院駅が最寄り。清潔さの水準は日本とは異なりますが、これこそが本当の成都体験だと言えます。
6. 建設路エリア(東部の新興グルメタウン)
地下鉄7号線の建設路駅周辺は、近年急速にグルメタウンとして発展しているエリアです。観光ガイドにはあまり載っていませんが、地元の若者が夜な夜な集まる串串香(串焼き火鍋)の激戦区。電子科技大学のキャンパスが近く、学生街特有の活気とリーズナブルな価格が魅力。ホテルは1泊150〜350元(約3,000〜7,000円)。観光地へのアクセスは春熙路まで地下鉄で10分と悪くありません。食べ歩きが好きな方に強くおすすめします。
7. 双流空港エリア(トランジット向け)
成都双流国際空港の周辺には、チェーン系ホテルが多数あります。1泊200〜400元(約4,000〜8,000円)。深夜着や早朝便の場合にのみおすすめ。市内中心部まで地下鉄10号線で約30分。空港近くの宿は便利ですが、成都の魅力を感じるには向いていません。なお、成都天府国際空港(第2空港)は市内から60km以上離れているため、そちらに発着する便の場合は高速鉄道での移動(約30分)も検討してください。
成都のベストシーズン
成都旅行のベストシーズンは、結論から言うと3月下旬〜5月と9月〜11月中旬です。ただし、それぞれの季節に異なる魅力があるので、目的に合わせて選んでください。
春(3月〜5月):最もおすすめ
気温は15〜25度で非常に過ごしやすく、湿度もまだ高くありません。杜甫草堂の庭園は花が咲き誇り、最も美しい季節です。パンダも活発に動き回る時期で、成都パンダ繁殖研究基地では赤ちゃんパンダに会える可能性も。ただし、清明節(4月初旬)や労働節(5月1日前後)の大型連休は中国国内から大量の観光客が押し寄せるため、この時期は避けるのが賢明です。ホテル価格も通常の2〜3倍に跳ね上がります。
夏(6月〜8月):蒸し暑いが食は最高
気温は30〜35度、湿度が非常に高く、盆地特有の蒸し暑さです。日本の夏よりやや暑いと感じるでしょう。しかし、この暑さの中で食べる火鍋や冷たい串串は格別。成都の人々は暑さを辛い料理で吹き飛ばすのが流儀です。夏休み期間中は観光地が混雑しますが、大型連休ほどではありません。避暑地として近郊の青城山や都江堰への日帰り旅行を組み込むと快適です。
秋(9月〜11月):もう一つのベストシーズン
気温は15〜25度に落ち着き、晴天の日が増えます。成都は「霧の都」と呼ばれるほど曇天が多い街ですが、秋は比較的晴れる日が多く、写真撮影に最適です。国慶節(10月1〜7日)は春節に次ぐ大型連休なので、この1週間は絶対に避けてください。10月中旬〜11月がベストオブベストです。銀杏の並木道が黄金色に染まる人民公園は圧巻です。
冬(12月〜2月):穴場シーズン
気温は3〜10度。東京より若干暖かいですが、湿度が高いため体感温度は低めです。暖房設備が日本ほど充実していない場所もあるので、防寒は万全に。メリットは観光客が最も少なく、ホテルが安いこと。火鍋を食べるなら冬が最高です。春節(旧正月)期間は多くの店が閉まるので注意が必要ですが、廟会(縁日)など特別なイベントも開催されます。
成都モデルコース:3日間から7日間
成都は見どころが多く、3日間では主要スポットを駆け足で回る程度。できれば5〜7日間の滞在をおすすめします。以下のモデルコースは、体力と興味に合わせてアレンジしてください。
1日目:成都の顔 - パンダと歴史
7:00 - 早起きして成都パンダ繁殖研究基地へ。開園は7:30で、朝一番が必須です。パンダは午前中に活発に活動し、餌やりの時間(8:30〜10:00頃)が最も見応えがあります。午後になると寝てしまうことがほとんど。入場料55元(約1,100円)。地下鉄3号線の熊猫大道駅からバスに乗り換え。タクシーなら市内中心部から約40分、50〜70元(約1,000〜1,400円)。園内は広いので歩きやすい靴で。電動カートも20元(約400円)で利用可能ですが、歩いて回る方がパンダに出会える確率が高いです。
12:00 - 市内に戻り昼食。春熙路エリアで四川名物の「鐘水餃」(8〜15元/約160〜300円)を試しましょう。龍抄手の本店も近くにあり、ワンタンが絶品です。
14:00 - 武侯祠へ。三国志の英雄、諸葛亮と劉備を祀る祠堂で、入場料50元(約1,000円)。日本語の音声ガイドあり(20元/約400円)。三国志好きなら2時間は必要。境内の「紅壁竹影」(赤い壁と竹の小道)はインスタ映えスポットとして有名です。
16:30 - 隣接する錦里古街を散策。約350mの古街には、茶館、小吃(軽食)の屋台、四川変臉ショー、影絵芝居など見どころが満載。三大炮(もち米の揚げ菓子、10元/約200円)、涼粉(冷たい春雨、8元/約160円)を食べ歩き。夕暮れ時の赤い提灯が灯る光景は格別です。
19:00 - 錦里近くの火鍋店で夕食。「小龍坎」や「大龍燚」は地元で人気のチェーン店で、一人約80〜120元(約1,600〜2,400円)。辛さが心配な方は「鴛鴦鍋」(半分辛い・半分辛くない)を注文しましょう。
2日目:文化と茶館の一日
9:00 - 杜甫草堂へ。唐代の大詩人・杜甫が4年間住んだ草庵の跡地で、現在は美しい庭園として整備されています。入場料50元(約1,000円)。竹林の中を歩く静寂な空間は、成都の喧騒から離れた別世界。日本の庭園美学に通じるものがあり、日本人旅行者からの評価が特に高い場所です。所要時間は1.5〜2時間。
11:30 - 人民公園へ移動。地元民の憩いの場で、太極拳をする老人、社交ダンスを踊るグループ、お見合いコーナー(親が子供の写真を掲げて相手を探す)など、成都の日常生活を垣間見ることができます。園内の「鶴鳴茶社」は1920年代創業の歴史ある茶館で、竹椅子に座って蓋碗茶を飲む体験は必須です。茶葉代15〜30元(約300〜600円)でお湯は何度でもおかわり可能。耳掃除サービス(30元/約600円)も名物。怖そうに見えますが、職人の技は見事で気持ちいいです。
14:00 - 寛窄巷子へ。「寛巷子」「窄巷子」「井巷子」の3本の路地からなる歴史的保存地区。清代の建築をリノベーションした茶館、レストラン、ギャラリーが並びます。観光地化されていますが、建築自体は本物で見応えがあります。「三聯韬奮書店」(本屋カフェ)は静かに過ごせる穴場。所要時間は1.5〜2時間。
17:00 - 文殊院へ。成都最大の仏教寺院で、入場無料。境内の茶園で地元民に混じってお茶を飲む体験がおすすめ。文殊院の精進料理レストラン「香園」は一食20〜40元(約400〜800円)で驚くほどおいしい。
19:30 - 川劇(四川オペラ)鑑賞。「蜀風雅韻」(琴台路)が最も有名で、変臉(瞬時に仮面が変わる技)、吐火(火吹き)、影絵芝居などが見られます。チケットは150〜380元(約3,000〜7,600円)。事前のオンライン予約がおすすめ。所要時間は約1.5時間。
3日目:現代の成都とグルメ三昧
9:30 - 天府広場から散策開始。成都博物館(無料、月曜休館)で四川の歴史を概観。展示は充実しており、日本語の解説パンフレットもあります。所要時間は1〜1.5時間。
11:30 - 成都IFSへ。屋上に巨大なパンダのオブジェがあることで有名なショッピングモール。7階のテラスからパンダの彫刻と一緒に写真を撮りましょう。地下のフードコートには日本料理店も。
13:00 - 成都太古里でランチとショッピング。オープンエアの高級商業施設で、古い寺院(大慈寺)と現代建築が融合した独特の空間。方所書店は中国で最も美しい書店の一つと評されています。
15:30 - 東郊記憶(旧工場をリノベーションしたアート地区)でストリートアートとカフェ巡り。入場無料。インディーズ音楽やアートに興味があれば半日過ごせます。
18:00 - 建設路エリアへ移動して串串香(串焼き火鍋)の夕食。「鋼管廠五区小郡肝串串香」が有名で、串1本0.5〜2元(約10〜40円)。好きな串を選んで鍋に入れるシステムで、一人50〜80元(約1,000〜1,600円)で大満足。
4日目以降:日帰り旅行と深掘り
4日目 - 三星堆博物館日帰り旅行。成都から車で約1時間(バスなら約1.5時間)。3000年以上前の古蜀文明の遺物が展示されており、黄金仮面や巨大な青銅仮面は圧巻。2023年にリニューアルオープンした新館は展示も設備も素晴らしく、丸一日かけても足りないほど。入場料72元(約1,440円)。考古学や歴史に興味がなくても、そのスケールと神秘性に圧倒されるでしょう。成都旅行で最もおすすめの日帰りスポットです。
5日目 - 都江堰と青城山の日帰り旅行。成都から高速鉄道で約30分。都江堰は紀元前256年に建設された灌漑システムで、世界遺産に登録されています。入場料80元(約1,600円)。午後は青城山(前山)でハイキング。道教の聖地で、入場料80元。ケーブルカーあり(往復60元/約1,200円)。両方合わせて1日でちょうど良い行程です。
6日目 - 楽山大仏への日帰り旅行。成都から高速鉄道で約1時間。高さ71mの世界最大の磨崖仏は、実際に見ると想像以上のスケールです。入場料80元(約1,600円)。遊覧船(70元/約1,400円)から眺めるのもおすすめ。階段を下りて足元まで行くルートは2〜3時間の行列覚悟。
7日目 - 市内でのんびり過ごす一日。午前中は人民公園の茶館で読書。午後は奎星楼街で食べ歩き。夕方は九眼橋のバーストリートで成都最後の夜を楽しむ。九眼橋付近の河沿いのバーはクラフトビールが50〜80元(約1,000〜1,600円)で、夜景が素晴らしい。
成都グルメ:レストランとカフェ
ユネスコが「美食都市」と認定しただけあり、成都の食文化は奥深く、胃袋がいくつあっても足りません。以下は実際に試して良かったレストランとカフェを紹介します。
本格四川料理レストラン
陳麻婆豆腐(本店) - 麻婆豆腐発祥の店。1862年創業。青羊区西玉龍街197号。麻婆豆腐は28元(約560円)で、痺れるような花椒の香りが他店とは格が違います。ランチ時は混雑するので11時前の到着がおすすめ。辛さの調整は不可。日本の麻婆豆腐とは別の料理だと思って食べてください。
巴国布衣 - 四川の伝統料理を現代的にアレンジした人気店。清潔感があり、サービスも良く、日本人旅行者に最もおすすめしやすいレストラン。メニューに写真と英語表記あり。一人100〜150元(約2,000〜3,000円)。特に「水煮魚」と「口水鶏」が絶品。
大龍燚火鍋 - 地元で圧倒的支持を集める火鍋チェーン。牛油(牛脂)ベースのスープは日本の火鍋とは次元が違う濃厚さ。毛肚(ハチノス)、鴨腸(アヒルの腸)、黄喉(大動脈)など日本では馴染みのない食材も挑戦してみてください。二人で200〜300元(約4,000〜6,000円)。
蜀九香火鍋 - 大龍燚と並ぶ火鍋の名店。こちらの方がやや上品で、観光客にも利用しやすい。特に「九宮格鍋」(9つの仕切りがある鍋)が名物で、仕切りごとに煮え具合が異なる仕組み。面白いし、美味しいです。
甘記肥腸粉 - 人民公園の近く。肥腸粉(豚の腸と春雨のスープ)の専門店で、1杯15元(約300円)。見た目に抵抗がある方もいるかもしれませんが、味は病みつきになります。地元民が行列を作る朝食の定番です。
カフェとスイーツ
鶴鳴茶社(人民公園内) - 前述の通り、成都で最も雰囲気のある茶館。コーヒーではなく蓋碗茶(蓋つき茶碗で飲む中国茶)を楽しむ場所。竹椅子に座って何時間でもぼんやりできます。茶葉代15〜30元(約300〜600円)。
%Arabica(太古里店) - 日本でもおなじみの%Arabicaが成都にも。大慈寺を背景にしたテラス席は写真映え抜群。ラテ38元(約760円)。日本価格とほぼ同じですが、景観は成都店が勝ちます。
方所書店(太古里内) - 4000平方メートルの巨大書店兼カフェ。地下に広がる空間はまるで知の洞窟。コーヒー35〜50元(約700〜1,000円)。中国語の本が読めなくても、空間自体が芸術作品です。
無早 - 成都発のクラフトコーヒーブランド。奎星楼街の店舗は地元の若者で賑わうおしゃれなスポット。ハンドドリップ25〜40元(約500〜800円)。バリスタの技術は日本のサードウェーブ系に引けを取りません。
成都のカフェ文化について一言。成都は中国屈指のカフェ都市で、人口あたりのカフェ数は上海に次いで中国第2位。ローカルなカフェはコーヒー1杯20〜35元(約400〜700円)で、Wi-Fiが充実し、長居しても嫌な顔をされません。日本のカフェの居心地の良さに慣れた方にも満足できるレベルです。
必食グルメ:成都の味
成都で必ず食べるべき9品を紹介します。日本の四川料理とは別次元の味わいが待っています。
1. 麻婆豆腐(麻婆豆腐 / ma po dou fu)
日本でもおなじみですが、本場の麻婆豆腐は花椒の痺れが強烈。陳麻婆豆腐の本店で食べると、日本で食べていたものは別の料理だったと気づきます。豆腐は柔らかく、牛ひき肉がたっぷり。ご飯がなければ食べられないほどの辛さと痺れ。28元(約560円)。
2. 火鍋(火锅 / huo guo)
成都の火鍋は、重慶スタイルとは異なり、牛油(牛脂)ベースで深みのある味わいが特徴。鴛鴦鍋(辛いスープと辛くないスープの二分割)を注文するのが初心者の賢い選択。具材は毛肚(ハチノス)7秒、鴨腸15秒、黄喉1分が最適な茹で時間の目安。ごま油の小皿に付けて食べるのが成都流。二人で200〜300元(約4,000〜6,000円)。
3. 担担麺(担担面 / dan dan mian)
日本の担々麺とは見た目からして違います。成都の担担麺はスープがほとんどなく、芝麻醤(ごまペースト)、ラー油、花椒、砕いたピーナッツ、ザーサイが混ざった濃厚なたれに細麺を和えたもの。量は少なめ(小碗で提供されるのが伝統)なので、他の料理と一緒に注文を。1杯10〜15元(約200〜300円)。
4. 串串香(串串香 / chuan chuan xiang)
成都独特のストリートフード。竹串に刺した様々な食材を辛いスープで煮る庶民版火鍋。串1本0.5〜2元(約10〜40円)と激安で、好きなだけ選べます。建設路の「鋼管廠五区小郡肝串串香」が聖地的存在。最後に串の本数を数えて会計するシステム。一人50〜80元(約1,000〜1,600円)。
5. 回鍋肉(回锅肉 / hui guo rou)
日本のホイコーローとは別物。本場は皮付きの豚バラ肉を薄くスライスし、自家製の豆板醤と甜面醤で炒めます。キャベツではなく蒜苗(ニンニクの芽の葉)を使うのが正統。肉がくるんと丸まっている(「灯盏窩」と呼ばれる形状)のが良い回鍋肉の証拠。ご飯が無限に進みます。28〜38元(約560〜760円)。
6. 鐘水餃(钟水饺 / zhong shui jiao)
甘辛いたれをかけた成都式水餃子。普通の水餃子と違い、赤いラー油と甘い醤油ダレが特徴的。具は豚肉のみが伝統。錦里古街や春熙路の専門店で。1皿8〜15元(約160〜300円)。
7. 龍抄手(龙抄手 / long chao shou)
成都版ワンタン。皮が極薄で、鶏ガラスープに浮かべるクリアタイプと、ラー油をたっぷりかける紅油タイプがあります。どちらも試す価値あり。春熙路の龍抄手本店で。1杯12〜20元(約240〜400円)。
8. 夫妻肺片(夫妻肺片 / fu qi fei pian)
名前の直訳は「夫婦の肺のスライス」ですが、実際には肺は使いません。牛の心臓、舌、胃などの内臓と牛肉を薄くスライスし、ラー油、花椒、ごま、ピーナッツで和えた冷菜。ビールのおつまみに最高。30〜50元(約600〜1,000円)。
9. 甜水面(甜水面 / tian shui mian)
太い麺に甘辛いタレをかけた成都独特の麺料理。醤油ベースの甘いタレとラー油の組み合わせが不思議なおいしさ。朝食や軽食として地元民に愛されています。奎星楼街の屋台で。1杯8〜12元(約160〜240円)。日本人の口にも合いやすい味です。
成都の秘密:地元民のアドバイス
ガイドブックには載っていない、成都をより深く楽しむための12のヒントを紹介します。
1. パンダ基地は平日の早朝に行け。週末は信じられない混雑で、パンダよりも人間を見に来たのかと思うほど。平日の開園直後(7:30)に到着すれば、パンダとほぼ独占的に対面できます。月曜日が最も空いています。
2. 辛さは段階的に攻略せよ。初日から本格的な火鍋に挑むのは危険。まず鐘水餃や担担麺など軽い辛さから始め、2日目に串串香、3日目に火鍋と段階を踏みましょう。胃薬(太田胃散が最適)は日本から持参すること。現地の薬局にも胃薬はありますが、成分表示が中国語のみです。
3. 茶館では「蓋碗茶」を注文せよ。ティーバッグの紅茶を出す茶館は観光客向けの偽物。本物の茶館は蓋碗(蓋・碗・托の3点セット)で提供し、お湯は何度でもおかわり可能。蓋の開け方で「おかわり」「もう結構」を店員に伝えるのが成都流。蓋を少しずらして碗の上に乗せておくと「おかわりください」の意味です。
4. 奎星楼街は成都の隠れたグルメストリート。錦里古街のような華やかさはありませんが、地元民が本気で食べに来る通り。冒椒火辣(串串香の名店)、二嬢鶏爪爪(鶏の爪の煮込み)など、B級グルメの宝庫。寛窄巷子から徒歩10分。
5. 地下鉄の自動券売機は現金不可の場合がある。WeChat PayかAlipayが必要。事前に天府通カード(交通ICカード)を購入するか、Alipayアプリ内の乗車コード機能を設定しておくと便利。天府通カードは地下鉄駅の窓口で購入可能。デポジット25元(約500円)。
6. 成都人は夜型。レストランは21時を過ぎても満席で、バーやクラブは深夜2時まで営業。逆に朝は遅く、10時前に開いている店は少ない。ただし朝食の屋台は7時頃から出ている場所もあり、豆漿(豆乳)と油条(揚げパン)の組み合わせは至福です。
7. タクシーの言い値には乗るな。観光地周辺のタクシーはメーターを使わず言い値を提示することがあります。必ずメーター使用を要求するか、DiDi(中国版Uber)を使いましょう。DiDiは目的地を中国語で入力する必要がありますが、地図上でピンを立てるだけでも呼べます。
8. 現金はほぼ不要だが少額は持っておけ。中国はキャッシュレス先進国で、屋台ですらQRコード決済が主流。ただし、一部の古い茶館やローカル市場では現金のみの場合も。500〜1000元(約10,000〜20,000円)程度の現金があれば安心です。空港の両替は手数料が高いので、市内の中国銀行がおすすめ。
9. 映秀地震遺址は心の準備をして訪問を。2008年の四川大地震の爪痕を残す震源地の町。成都から車で約1.5時間。崩壊したままの学校建物が保存されており、非常に感情的な体験になります。日本も地震国として共感できる場所ですが、軽い気持ちでの訪問は控えてください。
10. 成都のトイレ事情。大型ショッピングモール、高級ホテル、新しい観光施設のトイレは日本に近い清潔さ。しかし、ローカルな食堂や古い観光地のトイレは日本の基準からすると厳しいことも。ポケットティッシュは必ず携帯してください。公衆トイレはトイレットペーパーがないことが多いです。
11. 四川オペラの変臉は写真撮影OK。ただしフラッシュは禁止。スマートフォンの連写モードで撮影すると、仮面が変わる瞬間を捉えられる可能性があります。前方席(VIP席)は変臉の演者が目の前まで来てくれることも。追加料金の価値は十分にあります。
12. 帰国時、火鍋の素は液体物扱い。お土産に人気の火鍋の素(底料)は油分を含むため、機内持ち込みでは液体物として制限される可能性があります。必ず預け荷物に入れてください。真空パックの豆板醤やラー油も同様。粉末の花椒は問題ありません。お土産に最もおすすめなのは、乾燥花椒(紅花椒と青花椒の2種セット)。日本のスーパーでは手に入らない品質のものが、成都のスーパーで50g入り10〜20元(約200〜400円)で購入できます。
交通とインターネット
日本からのアクセス
成都双流国際空港(CTU)へは、成田空港(NRT)から直行便で約5.5時間、関西国際空港(KIX)からは約5時間。全日空(ANA)、四川航空、中国国際航空などが就航。往復チケットは時期によりますが、40,000〜90,000円程度。LCCの春秋航空が成田-成都便を運航しており、セール時は往復25,000円台もあります。成都天府国際空港(TFU)発着の便もあるので、予約時にどちらの空港か必ず確認してください。
空港から市内へ
地下鉄が最も便利で安い。双流空港から地下鉄10号線で市内中心部(太平園駅で乗り換え)まで約30〜40分、運賃7元(約140円)。天府空港からは地下鉄18号線で市内まで約50分。運賃10元(約200円)。どちらも6:00〜23:00頃まで運行。
タクシーは双流空港から市内中心部まで60〜100元(約1,200〜2,000円)、約30〜45分。天府空港からは200〜300元(約4,000〜6,000円)、約60〜90分。空港の正規タクシー乗り場を利用すること。声をかけてくる白タクは絶対に使わないでください。
空港バスは双流空港から各方面へ10〜20元(約200〜400円)で運行。天府空港からは高速鉄道(動車)で成都東駅まで約30分、29.5元(約590円)という選択肢もあります。
市内の移動
地下鉄 - 成都の地下鉄は2026年現在、13路線が開通しており、主要観光地のほぼ全てにアクセス可能。運賃は2〜10元(約40〜200円)。営業時間は6:15〜23:30頃(路線により異なる)。清潔で安全、案内表示は中国語と英語の併記。混雑時間帯(7:30〜9:00、17:30〜19:00)は東京の通勤ラッシュ並みに混みます。天府通カード(交通ICカード)またはAlipayの乗車コード機能が便利です。
タクシー/DiDi - 初乗り9元(約180円)、以降1.9元/km。成都のタクシーは比較的安全ですが、中国語が話せない場合はDiDi(滴滴出行)アプリの利用が圧倒的に便利。目的地を地図上で指定でき、料金も事前に確定。支払いはAlipayまたはWeChat Pay。JCBカードをAlipayに紐付けることも可能になっています。
バス - 運賃は2元均一(約40円)。路線は非常に多いですが、案内が中国語のみで旅行者には難易度が高い。百度地図やガオドー地図で経路検索すれば利用可能。
シェアサイクル - 美団(黄色)、ハロー(青)、滴滴(緑/オレンジ)の3社が主流。アプリでQRコードをスキャンして解錠。30分1.5元(約30円)。短距離移動に最適ですが、中国の電話番号が必要な場合が多いです。
インターネットとアプリ
中国ではGoogle、YouTube、LINE、Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、WhatsAppが全てブロックされています。VPNアプリを日本で出発前にダウンロードしておくことが必須です。中国国内ではVPNサイトにアクセスできません。おすすめはExpressVPN、NordVPN、またはSurfshark。複数入れておくと安心です(1つが使えなくなることがある)。
必須アプリ一覧:
- Alipay(支付宝) - キャッシュレス決済の基盤。2025年以降、外国のクレジットカード(Visa、Mastercard、JCB)を直接紐付け可能に。Tour Passモードなら本人確認も簡略化されています。
- WeChat(微信) - 中国版LINE。決済機能(WeChat Pay)も搭載。中国人とのコミュニケーションに必須。WeChat Payの外国カード紐付けも可能になっています。
- DiDi(滴滴出行) - 配車アプリ。英語対応あり。
- 百度地図 / ガオドー地図 - 中国国内ではGoogleマップが使えないため必須。百度地図は英語対応あり。
- 大衆点評 - 中国版食べログ。レストランの口コミ・評価が充実。中国語のみだが、写真を見るだけでも参考になります。
- 12306 - 中国鉄道のチケット予約アプリ。日帰り旅行の高速鉄道チケットを事前購入可能。パスポート番号で予約できます。
- 翻訳アプリ - Google翻訳はVPNが必要。百度翻訳やDeepLの中国版が代替として使えます。カメラ翻訳機能があると、メニューの読み取りに便利です。
SIMカードとWi-Fi:日本でeSIMを事前購入するのが最も簡単。「China Unicom」や「CMLink」のeSIMが3〜7日間プランで2,000〜5,000円程度。成都空港でもSIMカードの購入は可能ですが、パスポート提示と顔認証が必要で、手続きに20〜30分かかることがあります。ホテルやカフェのWi-Fiは概ね良好ですが、VPNなしでは日本のサービスにアクセスできない点を忘れずに。
JCBカードの利用:成都市内ではJCBカードの直接利用は限定的です。高級ホテル、空港の免税店、一部の大型デパートでは使えますが、一般的な店舗では使えません。JCBカードをAlipayに紐付けることで、ほぼ全ての店舗でQRコード決済として利用可能になります。渡航前に必ず設定を完了させておいてください。
まとめ
成都は、パンダと火鍋だけの街ではありません。三千年の歴史、ユネスコ美食都市の底力、茶館文化の優雅さ、そして中国で最ものんびりした都市の空気感。これらが混然一体となった魅力は、実際に訪れなければ理解できないものです。
日本人旅行者にとって、成都は東南アジアほど異質ではなく、ヨーロッパほど遠くもない、絶妙な距離感にある旅先です。直行便で5〜6時間、時差1時間、物価は日本の3分の1。週末に有給を1〜2日足すだけで、十分に深い旅が可能です。
辛い物が苦手な方も心配はいりません。成都には甘い味付けの料理や辛くない四川料理も豊富にあります。茶館でのんびりお茶を飲み、パンダに癒され、博物館で古蜀文明の神秘に触れる。そんな穏やかな旅も成都では叶います。
この街は「来了就不想走」(来たら帰りたくなくなる)と言われています。大げさに聞こえるかもしれませんが、成都を訪れた旅行者の多くが、帰国後に再訪を計画し始めるのは事実です。あなたもきっと、その一人になるでしょう。