シェフシャウエン
シェフシャウエン2026:旅行前に知っておくべきこと
モロッコ北部のリーフ山脈に抱かれた小さな町、シェフシャウエン。建物の壁から階段、路地の隅々まで青く染められたこの町は、インスタグラムで世界的に有名になったが、実際に訪れると写真以上の魅力がある。標高約600メートルに位置するため、マラケシュやフェズのような灼熱の暑さとは無縁で、夏でも比較的涼しく過ごせる。人口は約4万5千人ほどの小さな町だが、年間を通じて世界中から旅行者が訪れる。
日本からの直行便はないが、イスタンブール、ドバイ、パリ経由でモロッコに入り、タンジェまたはフェズからバスで向かうのが一般的なルートだ。東京からの総移動時間は乗り継ぎ含めて最短で約18時間、実際には丸一日を見ておくのが現実的だろう。関空からもカタール航空やエミレーツ航空を利用すれば同様のルートでアクセスできる。
通貨はモロッコ・ディルハム(MAD)で、1MADは約15円前後(2026年3月時点)。物価は日本と比べてかなり安く、メディナ内のリヤドなら一泊3,000〜8,000円程度、食事は一食500〜1,500円で十分満足できる。ただしクレジットカードの利用は限定的で、JCBはほぼ使えない。VisaやMastercardも高級ホテルや一部のレストランのみ対応しているため、現金の準備が必須だ。ATMはヴィル・ヌーヴェル(新市街)に数台あり、国際カードで引き出せる。
治安は概ね良好で、モロッコの他の観光都市と比べても穏やかな雰囲気がある。ただし観光客を狙った軽犯罪(スリ、ぼったくり)は皆無ではない。貴重品の管理は日本にいる時以上に注意が必要だ。また、メディナの路地は迷路のように入り組んでおり、初日は方向感覚を失いやすい。Google Mapsは路地レベルでは役に立たないことも多いので、宿の位置と主要なランドマークの位置関係を把握しておこう。
シェフシャウエンのエリア:どこに泊まるべきか
メディナ中心部(ウタ・エル・ハマム広場周辺)
ウタ・エル・ハマム広場はメディナの心臓部だ。カスバ(城塞)に隣接し、周囲にはカフェやレストランが並ぶ。ここを拠点にすれば、メディナ内のどこへでも徒歩10分以内でアクセスできる。宿泊施設はリヤド(伝統的なモロッコの邸宅を改装した宿)が中心で、一泊4,000〜12,000円(300〜800MAD)が相場。朝食付きの宿が多く、屋上テラスから青い町並みを一望できるリヤドも少なくない。
メリット:利便性が圧倒的に高い。レストラン、土産物店、カフェがすべて徒歩圏内。夜の散策も安心感がある。デメリット:観光客が最も集中するエリアのため、日中は混雑する。客引きも多い。静かに過ごしたい人には不向きかもしれない。清潔さは宿によって差があるので、予約前にレビューをしっかり確認すること。日本のホテルのような完璧な清掃を期待すると落差を感じる場合もあるが、評価の高いリヤドなら十分快適だ。
西メディナ(バブ・エル・アイン方面)
メディナの西側は、中心部より静かで生活感のあるエリアだ。地元の人々が実際に暮らしている区画で、観光客向けの店は少ないが、その分モロッコの日常を肌で感じられる。宿泊費もやや安めで、一泊3,000〜7,000円(200〜470MAD)程度のリヤドが見つかる。
メリット:静かな環境、地元の暮らしに近い体験、中心部より安い宿泊費。デメリット:レストランやカフェの選択肢が限られる。メディナの中心部まで徒歩5〜8分ほどかかる。路地がさらに狭く急で、スーツケースを持っての移動は大変。バックパックを強く推奨する。
東メディナ(カジェホン・エル・アスリ周辺)
メディナの東側は、最も写真映えするエリアの一つだ。青の濃さがひときわ鮮やかで、植木鉢や猫が絵になる路地が続く。カジェホン・エル・アスリは特に有名な撮影スポットで、早朝なら人のいない状態で写真が撮れる。
メリット:町で最も美しいエリア。朝夕の光が壁に当たる時間帯は息を呑む美しさ。比較的静かなリヤドが多い。デメリット:坂が急で、足腰に自信がない人にはきつい。中心部からやや離れるため、毎日の買い出しや食事に少し歩く必要がある。一泊3,500〜9,000円(230〜600MAD)が目安。
ラス・エル・マー(水源エリア)
メディナの東端にあるラス・エル・マーは、山から流れる清水が湧き出る場所だ。地元の女性たちが洗濯をし、子供たちが水遊びをする光景は、観光地化されたメディナとは異なる素朴な風景。ここからスペイン・モスクへのハイキングトレイルが始まる。
メリット:自然に近く、静かな環境。ハイキングの起点として便利。涼しげな水の音が心地よい。デメリット:メディナの端に位置するため、中心部まで徒歩10〜15分。夜は人通りが少なくなるので、一人歩きは少し不安かもしれない。宿泊施設の数は限られるが、一泊2,500〜6,000円(170〜400MAD)と比較的リーズナブル。
ヴィル・ヌーヴェル(新市街)
メディナの外に広がる新市街は、近代的なモロッコの町並みが続くエリアだ。ATM、薬局、スーパーマーケット、バスターミナルなどが集中している。観光的な魅力は乏しいが、実用面では便利。
メリット:設備の整ったホテル(エアコン、エレベーター付き)がある。車でのアクセスが容易。バスターミナルに近く、到着日や出発日に便利。清潔さの面でも、新しいホテルなら日本人の基準にも比較的合いやすい。一泊4,000〜15,000円(270〜1,000MAD)と幅広い。デメリット:青い町の雰囲気は皆無。メディナまで徒歩10〜15分。わざわざシェフシャウエンに来た意味が薄れると感じる人も多い。
私のおすすめ:初めてなら東メディナかメディナ中心部の評価の高いリヤド。予算を抑えたいなら西メディナ。快適さ重視ならヴィル・ヌーヴェルの新しいホテルを選び、日中はメディナを散策するスタイルが良い。
シェフシャウエンのベストシーズン
春(3月〜5月):ベストシーズン
気温は日中15〜25度、朝晩は10度前後まで下がることもある。山の緑が鮮やかで、野花が咲き乱れる美しい季節だ。4月は特にバランスが良く、観光客もピークほど多くない。ただし雨が降る日もあるので、薄手の防水ジャケットがあると安心。ラマダン期間中は一部のレストランが日中閉まるので、事前に日程を確認しておこう。
夏(6月〜8月):暑いが耐えられる
日中は30〜35度になるが、標高のおかげでマラケシュの40度超えに比べれば過ごしやすい。夕方以降は涼しくなり、屋上テラスでの夕食が最高に気持ちいい。7〜8月はヨーロッパからの観光客でかなり混雑する。宿の予約は早めに。日差しが強いので帽子と日焼け止めは必須。日本の夏の湿気とは違い乾燥しているため、体感温度は数字ほど厳しくない。
秋(9月〜11月):穴場シーズン
春と並んで快適な季節。9月はまだ暖かく、10月以降は徐々に涼しくなる。紅葉はないが、山の色合いが変わり、光が柔らかくなって写真撮影には絶好のコンディション。11月後半から雨が増え始める。観光客が減り始めるので、宿の値段交渉もしやすくなる。
冬(12月〜2月):静かだが寒い
日中でも8〜15度、夜は5度以下になることも珍しくない。モロッコの建物は断熱性が低く、暖房設備も限られているため、室内でも寒さを感じる。防寒着は必須だ。ただし観光客が最も少なく、メディナをほぼ独り占めできる。山に雪が積もると、青い町並みと白い山のコントラストが幻想的。宿代も最安になり、一泊2,000〜4,000円で良いリヤドに泊まれることも。
日本人旅行者へのアドバイス:ゴールデンウィーク(4月末〜5月初旬)は気候的にほぼ完璧なタイミングだ。年末年始は寒さ対策さえすれば、静かな青い町を堪能できる。シルバーウィーク(9月)も気温と混雑のバランスが良い時期。
シェフシャウエン旅程:3日から7日
1日目:メディナの全体像を掴む
午前(9:00〜12:00):まずはウタ・エル・ハマム広場を起点に、メディナの雰囲気を肌で感じよう。広場に面したカフェでミントティー(10〜15MAD/約150〜225円)を飲みながら、行き交う人々を眺めるのがいい。その後、カスバ(入場料70MAD/約1,050円)を見学。小さな博物館と美しい庭園がある。屋上からの眺めは町全体を把握するのに最適だ。
昼食(12:00〜13:30):広場周辺のレストランでタジンを試そう。チキンレモンタジン(50〜70MAD/約750〜1,050円)が定番。観光地価格だが、初日は利便性を優先して構わない。
午後(14:00〜17:00):青いメディナを自由に散策。地図を見ずに歩くのがコツだ。迷っても必ず広場か城壁に出る。青い壁、猫、植木鉢、洗濯物——あらゆる日常の風景がフォトジェニック。土産物店を冷やかしながら歩くだけで時間が溶ける。
夕方(17:30〜19:00):スペイン・モスクへ夕日を見に行く。ラス・エル・マーから徒歩20〜30分の丘の上にある廃墟のモスクで、シェフシャウエン全景を見渡す最高のビュースポット。日没の30分前には到着しておきたい。足元が悪い箇所もあるのでスニーカー推奨。
2日目:ディープなメディナと写真撮影
早朝(6:30〜8:30):写真撮影のゴールデンタイム。日の出直後のメディナは人がほとんどおらず、朝の光が青い壁を黄金色に染める。カジェホン・エル・アスリは特にこの時間帯が美しい。三脚を使うなら早朝一択だ。
午前(9:00〜12:00):メディナの職人エリアを探索。革工房、織物工房、木工品の店が点在している。買い物をするなら値段交渉は必須で、最初の提示価格の40〜60%が適正価格の目安。急がず、お茶を飲みながらゆっくり交渉するのがモロッコ流だ。
午後(14:00〜17:00):ハマム(モロッコ式公衆浴場)体験。日本の温泉とは全く異なるが、スチームサウナ+垢すり+マッサージのセットで150〜250MAD(約2,250〜3,750円)が相場。男女別の施設が多い。衛生面は施設によって大きく異なるので、宿に評判の良いところを紹介してもらうのが安全だ。日本の温泉の清潔さを期待しない方がいいが、体験としては非常に面白い。
夜(20:00〜):屋上テラスのあるレストランで夕食。星が近く感じる夜空の下、タジンとモロッコワイン(グリ・ド・グリ、モロッコのロゼが飲みやすい)で締めくくる。
3日目:アクシュール滝ハイキング
終日(8:00〜17:00):シェフシャウエンから車で約45分のアクシュール滝は、この地域最大の自然の見どころだ。タクシーをチャーターするのが一般的で、往復300〜400MAD(約4,500〜6,000円)、乗り合いなら一人80〜100MAD(約1,200〜1,500円)。小さい滝(Petit Cascade)まで片道約45分、大きい滝(Grand Cascade)まで片道約2.5〜3時間のトレイルがある。日帰りなら小さい滝だけでも十分楽しめる。水量は春が最も豊富。夏は泳げるポイントもある。
持ち物:水2リットル以上、帽子、日焼け止め、トレッキングシューズ(最低でもスニーカー)、軽食。トレイル途中に売店はない。入場料20MAD(約300円)。
4〜5日目(延泊する場合)
4日目午前:タランテ山ハイキング。シェフシャウエンの背後にそびえる双子の角のような山で、町の名前の由来(ベルベル語で'二つの角を見よ')でもある。本格的な登山ルートは往復5〜6時間。ガイド(300〜500MAD/約4,500〜7,500円)を雇うのが推奨。頂上からの360度パノラマは圧巻。
4日目午後:メディナに戻り、ゆっくりと最後の買い物。シェフシャウエンならではの土産物は、手織りのブランケット(200〜500MAD)、地元産の石鹸(30〜50MAD)、革製品、スパイスなど。
5日目:近郊の村訪問。ベルベル人の村々は観光客がほとんど訪れない静かな世界。タクシーで日帰りできる距離に複数の村がある。宿のオーナーに相談すれば、信頼できるドライバーを紹介してもらえる。一日チャーター500〜700MAD(約7,500〜10,500円)が目安。
6〜7日目(1週間滞在の場合)
6日目:タルーダント渓谷方面への日帰りトリップ、または完全にリラックスする日。メディナのカフェでスケッチや読書をしたり、料理教室(300〜500MAD/約4,500〜7,500円)に参加してモロッコ料理を学んだりするのもいい。
7日目:移動日。フェズまたはタンジェへの移動は朝早いバスが快適。CTMバス(国営)が最も快適で、フェズ行きは約4時間(100〜120MAD/約1,500〜1,800円)、タンジェ行きは約3〜4時間(80〜100MAD/約1,200〜1,500円)。
シェフシャウエンのグルメ:レストランとカフェ
メディナ内のレストラン
Bab Ssour:広場から徒歩3分、地元の人にも観光客にも人気の店。テラス席からメディナを見下ろせる。タジン(50〜80MAD/約750〜1,200円)、クスクス(60〜90MAD/約900〜1,350円)。金曜日のクスクスは特に美味しい。サービスはモロッコ基準で良い方だが、日本のレストランのスピードを期待してはいけない。注文から提供まで30〜45分は普通だ。
Lala Mesouda:メディナの奥まった場所にある家庭料理レストラン。モロッコのお母さんが作る本格的な家庭の味。ハリラスープ(15〜20MAD/約225〜300円)、ベルベルオムレツ(35〜50MAD/約525〜750円)。予約不可、席数が少ないので早めに行くのがコツ。
Aladdin:ウタ・エル・ハマム広場に面した大きなレストラン。屋上テラスからの眺めが最高。料理は観光客向けで無難だが、ロケーションの良さで選ぶ価値がある。前菜+メイン+デザートのセットで120〜180MAD(約1,800〜2,700円)。
Casa Hassan:老舗リヤド兼レストラン。ここのパスティーヤ(鶏肉のパイ包み)は町で一番という声も多い。やや高めだが(メイン80〜120MAD/約1,200〜1,800円)、味は確か。事前予約推奨。
カフェとスイーツ
Cafe Clock Chefchaouen:フェズに本店があるチェーン。モロッコの伝統とモダンが融合した空間で、ラクダバーガー(85MAD/約1,275円)が名物。Wi-Fiも快適で、日本人には嬉しい充電コンセントも豊富。ライブ音楽イベントもある。
ミントティーについて:モロッコではミントティーは単なる飲み物ではなく、おもてなしの象徴だ。どこのカフェでも注文できるが、砂糖の量に注意。通常は大量の砂糖が入っているので、甘さ控えめが好みなら'peu de sucre'(シュクル・シュワイヤ、少しの砂糖)と伝えよう。一杯10〜15MAD(約150〜225円)。
屋台とストリートフード:広場周辺の屋台では、ムサンメン(モロッコのクレープ、5〜10MAD/約75〜150円)やフレッシュオレンジジュース(10〜15MAD/約150〜225円)が楽しめる。衛生面が気になる方は、火を通したものを選び、調理過程が見える屋台を選ぶのが安心。生野菜のサラダは胃腸の弱い人は初日は避けた方が無難かもしれない。
必食グルメ:シェフシャウエンの名物料理
1. タジン(Tajine)
円錐形の陶器鍋で蒸し煮にしたモロッコの国民食。シェフシャウエンでは特にチキン+レモン+オリーブのタジンが定番。肉が骨から崩れるほど柔らかく煮込まれ、レモンの酸味とオリーブの塩味が絶妙。50〜80MAD(約750〜1,200円)。
2. クスクス(Couscous)
金曜日に食べるのが伝統。蒸したセモリナ粒の上に野菜と肉が盛られる。手で食べるのがモロッコ流だが、スプーンでも問題ない。羊肉と7種の野菜のクスクスが最も一般的。60〜90MAD(約900〜1,350円)。
3. パスティーヤ(Pastilla/Bastilla)
薄いフィロ生地で鶏肉(または鳩肉)、アーモンド、卵を包み、シナモンと粉砂糖をかけた甘しょっぱいパイ。日本人の味覚にはやや意外な組み合わせだが、一度食べるとクセになる。70〜100MAD(約1,050〜1,500円)。
4. ハリラ(Harira)
トマトベースのスープにレンズ豆、ひよこ豆、小さなパスタが入る。ラマダン中の断食明けに欠かせない一品だが、年中提供される。体が温まり、胃にも優しい。朝食にも最適。15〜25MAD(約225〜375円)。
5. ベルベルオムレツ(Berber Omelet)
トマト、ピーマン、玉ねぎをスパイスで炒め、卵でとじたもの。シャクシュカに似ているが、モロッコ独自のスパイス使いが特徴。パンと一緒に朝食として出されることが多い。35〜50MAD(約525〜750円)。
6. ムサンメン(Msemen)
四角く折りたたんだ薄焼きパン。バター風味でもちもちの食感が日本人好みだ。蜂蜜やチーズと合わせて食べるのが定番。屋台で焼きたてを買うのが一番美味しい。5〜10MAD(約75〜150円)。
7. ケフタタジン(Kefta Tajine)
スパイシーなラム肉のミートボールをトマトソースで煮込み、中央に卵を落としたもの。見た目のインパクトもあり、味も力強い。パンで最後のソースまですくって食べたい。55〜80MAD(約825〜1,200円)。
8. モロカンサラダ(Salade Marocaine)
トマト、キュウリ、玉ねぎを細かく刻んでクミンとオリーブオイルで和えたサラダ。前菜として必ず出てくる。シンプルだが、モロッコのトマトの甘さに驚くはず。多くの場合、パンと一緒にサービスで提供される。
9. モロッコンミントティー(The a la menthe)
料理ではないが、モロッコの食文化を語る上で外せない。ガンパウダー緑茶に新鮮なミントと大量の砂糖を加え、高い位置からグラスに注ぐパフォーマンスも見どころ。食後の一杯は消化を助けるとされている。10〜15MAD(約150〜225円)。
シェフシャウエンの秘密:地元民のアドバイス
写真のマナーを守ること。人物を撮影する際は必ず許可を求めること。特に女性や高齢者は無断撮影を嫌がる。子供を撮る場合も保護者に確認を。日本でも知らない人にカメラを向けられたら不快だろう。同じことだ。店の商品を撮影する場合も一声かけるのがマナー。
早朝のメディナは別世界。6時台のメディナは観光客がほぼゼロ。朝の光が青い壁を照らし、猫たちが路地を闊歩する。この時間帯のシェフシャウエンこそ本物だ。朝型の人は絶対に早起きすべし。
水道水は飲まない方がいい。ペットボトルの水を常に持ち歩くこと。1.5リットルで5〜7MAD(約75〜105円)。氷入りの飲み物も念のため避けた方が安心。胃腸薬は日本から持参しておこう。正露丸やビオフェルミンは心強い味方だ。
値段交渉はゲームだと思え。最初の提示価格は適正価格の2〜3倍。怒ったり急いだりせず、笑顔で半額くらいを提示して、そこから落としどころを探る。買わなくても全く問題ない。'ラ・シュクラン(いいえ、結構です)'と笑顔で言えば大丈夫。
金曜日は特別な日。金曜日はイスラム教の礼拝日で、午前中は多くの店が閉まる。午後には開くが、町全体がゆったりした雰囲気になる。この日のクスクスは特別においしい。
ヤギのチーズを試すべし。シェフシャウエン周辺の山ではヤギが放牧されており、地元産のフレッシュチーズが絶品。市場で小さなディスク状のチーズ(10〜20MAD/約150〜300円)を買って、パンと一緒に食べるのが最高。
大麻の勧誘に注意。リーフ地方は大麻の産地として知られ、町中で'ハシシ?'と声をかけられることがある。モロッコでは所持も使用も違法であり、外国人であっても逮捕・拘留の対象になる。きっぱり断ること。
靴は歩きやすいものを。メディナの路地は石畳で、急な坂や段差だらけ。サンダルやヒールは危険。滑りにくいスニーカーかトレッキングシューズが必須。雨の日は特に滑りやすくなる。
日本語は通じないが、フランス語が役立つ。モロッコの公用語はアラビア語とベルベル語だが、フランス語が広く通じる。英語は若い世代やホテルスタッフなら多少話せる。スペイン語も北部では通じることが多い。簡単なフランス語の挨拶を覚えておくと印象が良い。'ボンジュール(こんにちは)'、'メルシー(ありがとう)'、'コンビアン(いくら?)'の3つだけでもかなり便利。
チップの文化がある。レストランでは会計の10%程度、カフェでは2〜5MAD、荷物を運んでくれたポーターには10〜20MAD。日本にはチップ文化がないが、モロッコではサービスへの感謝として当然のことなので、小銭を常に用意しておこう。
夕食は遅めが地元流。レストランは19時頃から賑わい始め、21時頃がピーク。日本人の感覚では遅いかもしれないが、昼食をしっかり食べて、午後にお菓子とミントティーで小腹を満たせば、遅い夕食も楽しめる。
シェフシャウエンの交通と通信
日本からのアクセス
日本からモロッコへの直行便は存在しない。主なルートは以下の通り:
イスタンブール経由(ターキッシュエアラインズ):成田/羽田/関空からイスタンブールまで約12時間、乗り継いでカサブランカまで約4.5時間。接続が良ければ総移動時間は約18〜20時間。価格は往復12〜20万円が目安。
ドバイ経由(エミレーツ航空):成田/羽田/関空からドバイまで約11時間、乗り継いでカサブランカまで約8時間。総移動時間は約22〜25時間とやや長いが、ドバイでストップオーバーも可能。往復13〜22万円。
パリ経由(エールフランス):成田/羽田からパリまで約12.5時間、乗り継いでタンジェまで約2.5時間。タンジェからシェフシャウエンが近いのが利点。往復15〜25万円。
モロッコ国内では、カサブランカまたはタンジェに到着後、CTMバスかグランタクシーでシェフシャウエンへ向かう。タンジェからは約3〜4時間(80〜100MAD/約1,200〜1,500円)、フェズからは約4時間(100〜120MAD/約1,500〜1,800円)、カサブランカからは約7時間(180〜220MAD/約2,700〜3,300円)。
町内の移動
メディナ内は完全に徒歩。車は入れない。新市街へはプチタクシー(青い小型タクシー)が利用でき、メーター制だが交渉制のことも多い。町内なら10〜20MAD(約150〜300円)程度。グランタクシー(乗り合いの大型タクシー)は近郊への移動に利用する。
SIMカードとインターネット
モロッコのSIMカードは到着空港(カサブランカ、タンジェ)で購入できる。Maroc Telecom、Inwi、Orangeの3社があり、いずれも4Gに対応。データ専用プランは20GB/30日で100MAD(約1,500円)前後。パスポートの提示が必要。eSIMに対応したスマートフォンなら、Airaloなどのサービスで日本出発前にモロッコ用eSIMを購入しておくのも便利だ(1GB/7日で約600〜800円から)。
メディナ内のWi-Fi環境は改善傾向にあるが、速度は日本と比べると大幅に遅い。動画のアップロードやビデオ通話はストレスがたまるかもしれない。カフェのWi-Fiは概ね使えるが、パスワードを聞く必要がある。重要な連絡はSIMカードのデータ通信に頼る方が確実。
電圧とプラグ
モロッコの電圧は220V/50Hz、プラグはC型(ヨーロッパ型の丸ピン2本)。日本の電化製品を使うには変換プラグが必要。最近のスマートフォンやノートPCの充電器はほとんどが100〜240V対応なので、変圧器は不要な場合が多い。念のため充電器の表記を確認しておこう。変換プラグは日本の100円ショップやAmazonで事前に購入可能。モロッコ到着後に空港で買うと200〜300円程度高くなる。
トイレ事情
日本のウォシュレット付きトイレに慣れていると、モロッコのトイレは衝撃かもしれない。公衆トイレは有料(1〜2MAD)で、紙がないことも多い。ポケットティッシュやウェットティッシュは必携品だ。良いリヤドならウェスタンスタイルのトイレがあるが、安い宿やレストランではスクワットトイレ(和式に似た形式)に遭遇することもある。
シェフシャウエンは誰向き:まとめ
シェフシャウエンは、写真が好きな人には天国だ。どこを切り取っても作品になる。ゆっくり過ごしたい人にも最適で、3〜4日あればメディナの空気を十分に吸い込める。ハイキング好きなら、アクシュール滝やタランテ山が待っている。
一方で、高級リゾート的な快適さを求める人、清潔さに非常に敏感な人、効率的な観光を好む人にはストレスが溜まるかもしれない。モロッコの時間はゆっくり流れる。注文した料理は30分待つこともあるし、道を聞けば3人が3通りの答えをくれる。それを楽しめるかどうかが、この町を好きになれるかの分かれ道だ。
日本から決して近くはないが、青い迷路の中で迷い、ミントティーを飲みながら屋上で夕日を眺め、猫と路地を共有する時間は、長い移動の疲れを忘れさせてくれる。シェフシャウエンは、旅の目的地というよりも、旅の途中で立ち止まる場所だ。そして、立ち止まった時間が長いほど、この町の青が心に染み込んでいく。